精密部品メーカーであるミネベアミツミ株式会社より、N95マスクを始めとする医療物資を無償で譲り受けることとなり、その譲渡式が4月28日、日医会館で行われた。
当日は、貝沼由久ミネベアミツミ代表取締役会長兼社長執行役員から、N95マスク7万枚、ゴーグル8800個、頭巾9000個、クリーンスーツ800着、ニトリルグローブ20万ペアの目録が、横倉義武会長からは感謝状がそれぞれ手交された。
貝沼代表取締役会長兼社長執行役員は、27カ国計171拠点で活動を展開する同社では、SARSやMERSなどの感染症、火山の爆発など、さまざまなリスクへの対応が求められてきた経験から、N95マスクなどの医療用物資の備蓄を進めてきたことを説明。
このたびの新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関しては、これまで国内外の医療機関と東南アジアの各国政府に対し、N95マスク約15万枚などの寄贈を行ってきたとし、「感染症の最前線で、命懸けで戦っている医療従事者の皆様に感謝と敬意を表したいとの思いで今回、医療物資を提供させて頂いた。少しでもお役に立てれば望外の喜びである」と述べた。
これに対し、横倉会長は、今までわが国が医療用資材を輸入に頼っていた反省から、国民の生命と健康に直結する医薬品・医療機器や衛生用品等を国内生産できる体制の構築に向け、政府に働き掛けているとした上で、「こうした体制整備には時間を要するため、今、まさに医療機関が直面する医療物資不足に即座に対応することは難しい。現在の危機的な状況をご理解頂き、医療崩壊を食い止めるためにこれだけ多くの医療物資の寄贈をご決断頂いたことに感謝申し上げる」と万謝した。
なお、日医では、このたび事務局に「医療物資プロジェクトチーム」を設置し、今後は厚生労働省、経済産業省、各医師会と密に連携しつつ、地域における医療物資等の状況把握を進めていくことにしているが、今回寄贈された医療物資に関しても、同チームが中心となって、各都道府県の感染状況やPCR検査の実施状況等を踏まえて配分し、都道府県医師会を通じて各医療機関に順次配布する予定となっている。