自民党の「新型コロナウイルス関連肺炎対策本部」が3月19日に自民党本部で開催され、医療関連団体に対するヒアリングが行われた。日医からは、横倉義武会長と釜萢敏常任理事が出席し、日医の考え及び要望について説明した。
当日は、岸田文雄自民党政務調査会長のあいさつ及び厚生労働省並びに外務省の新型コロナウイルスに関する対応状況等に関する説明の後、日医を含め11団体が意見を述べた。
横倉会長は、「現在、海外ではアウトブレイクにより医療崩壊が起きている国もある。わが国でも、一部大都市を中心に感染経路が明らかでない事例も出ている状況であり、アウトブレイクに対して非常に危機感を持っている」とした上で、EUが求めた財政緊縮策として医療費抑制政策を進めてきた結果、イタリアでは病床が不足に陥るなど、必要な医療が受けられない事態になっていると指摘。「今般、わが国においても、医療提供体制の見直しの中で病床数の抑制が求められているが、入院医療体制に余裕を持って計画しておかなければ同じことが起こる」と危惧した。
新型コロナウイルス感染症に罹患した患者の受診や医療従事者の罹患、そして来院する患者の不安を払拭するため、自主休業を余儀なくされる医療機関が出ていることについては、「自主休業に対する休業補償をしっかりとしておかなければ、地域医療は崩壊する一因になり得る。また、風評被害等で困っている医療機関も出ているが、それらの医療機関に対しても経済的なバックアップをお願いしたい」と述べた。
その上で、横倉会長は、今回の新型コロナウイルス感染症対策や、今後も起こり得る危機管理対策として、(1)いわゆる「日本版CDC」を創設するとともに、司令塔(マネージメント部隊)と実働部隊を分けた上で、危機管理医学における人材育成を行う、(2)動線の分離や陰圧室などの設備の充実など、危機管理対策として緊急時の医療提供体制を維持するための基金を設置する―ことを要望した。
また、横倉会長は最後に、「3月13日には、厚労省から医療機関向けマスクの医療機関等への優先配布の仕組みが整理されたものの、現場では消毒薬や防護具等も不足している。これらの手当ても急がなければいけない」とするとともに、「医療機関に従事する方が不安を感じることなく、患者の治療に専念できるよう、現場の声を聞いてその改善を図って頂きたい」と強く要請した。
引き続き、補足的な説明を行った釜萢常任理事は、「帰国者・接触者外来」の業務も大変な状況にあるとし、日医としても、地域の医師会の協力の下、肩代わりできるような仕組みを考えていることを説明。その支援を求めた。
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