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令和2年(2020年)3月20日(金) / 日医ニュース

「健やか親子21」をテーマに開催

「健やか親子21」をテーマに開催

「健やか親子21」をテーマに開催

 令和元年度母子保健講習会が2月16日、日医会館大講堂で開催された。
 冒頭のあいさつで横倉義武会長(中川俊男副会長代読)は、超少子高齢社会となった日本の現状を危惧し、日医として、次世代を担う子ども達の未来を見据え、実効性のある施策の実現に向け、国の「成育医療等協議会」等で積極的に政策提言を行っていく考えを表明。参加者に対して、引き続きの協力を求めるとともに、本講習会が実り多きものになることに期待感を示した。
 講演では、まず、小林秀幸厚生労働省子ども家庭局母子保健課長が「健やか親子21(第二次)」の中間評価によって見えてきた課題等を説明し、「健やか親子21を推進していくためにも、今後は都道府県による、より広域的で専門的な視点からの市町村支援が求められる」と指摘。今後については、「新生児の聴覚検査」や「子どもの死因究明体制の整備」にも積極的に取り組んでいきたいと述べた。
 三牧正和帝京大学医学部小児科教授は、ポスターやリーフレットの作成等、現在89団体が所属している健やか親子21推進協議会の具体的な取り組みを紹介。今後の課題としては、「情報共有することによる各構成団体間の連携強化」「民間企業との連携とその促進のための仕組みの構築」等を挙げた。

成育基本法が「健やか親子21」推進の根拠となることを期待

 引き続き、「健やか親子21(第二次)の中間評価結果から見えてきた課題」をテーマとして行われたシンポジウムでは、平川俊夫常任理事が「妊産婦のメンタルヘルスケア」等、産婦人科領域の課題を説明。今後は、「精神疾患を合併した妊産婦への対応強化」「自治体と医療機関が連携した継続的な支援体制の構築」「父親の育児支援や心身の健康に関する現状把握」等が求められるとした。
 五十嵐隆国立成育医療研究センター理事長は、小児保健・医学の課題として、「難治性疾患の治療」「子どものこころや社会性を評価し、支援するしくみの構築」「出生前診断への取り組み」などがあるとした他、中間評価の結果については、「児童虐待の通告義務を知っている国民の割合」が減っていることなどを問題点として挙げた。
 更に、成育基本法成立の意義を強調し、「本法が効果的に運用されることで、日本の周産期、小児、若年成人の医療・保健の改善につながることが期待される」とした。
 鈴木利人順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック教授は、向精神薬を服用する妊産婦が増加する一方、その状況に対応する精神科医が少ないため、母児にさまざまなリスクが生じている現状を憂慮(ゆうりょ)。産前教育において、保健師面接や精神科医への受診の重要性について話をしておく必要があると指摘した。
 その他、周産期メンタルヘルス活動が活発に行われている宮城、福島、千葉各県の事例を紹介。活動を全国レベルに広げるためにも、①周産期に精通する精神科医の養成②多職種で周産期メンタルヘルス活動を行うためのモデルの作成や求められる活動項目の整理―などが必要になるとした。
 山縣然太朗山梨大学大学院総合研究部医学域社会医学講座教授は、中間評価結果を踏まえて目標値を変更した「健やか親子21」の指標等について説明。基盤課題Cの「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」を進めていくためには、人と人とのつながりが大事になるとした他、「健やか親子21」の問題点として、「法的根拠と予算が乏しい」「少子化対策が複雑」「小児科医の関心が低い」―を挙げ、「成育基本法が『健やか親子21』及び母子保健計画の法的根拠として位置付けられることを切に望んでいる」と述べた。
 その後の討議では、シンポジストと参加者との間で活発な質疑応答が行われ、講習会は終了となった。

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