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令和元年(2019年)5月5日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

「医師の働き方改革と救急医療に関する日本医師会緊急調査」の結果まとまる

日医定例記者会見 4月3・10日

 石川広己常任理事は、本年3月に急きょ実施した「働き方改革と救急医療に関する日本医師会緊急調査」の結果を公表した。
 本調査は、合計4243施設〔(1)都道府県で認めている2次救急医療機関及びこれに類する救急医療機関(救急告示病院等含む)、(2)3次救急医療機関または小児救命救急センター、(3)(総合・地域)周産期母子医療センター〕を対象に、原則WEBによる回答として行い、1739施設から回答を得た。回答率は41・0%であった(主な調査結果の概要は別掲)。
 同常任理事は、今回の調査について、「大部分の救急医療機関は医師の働き方改革に対応できるように努力しており、制限範囲内に収めるようにしているが、一部の医療機関・地域では難しい状況にあることが分かった」と説明。今後、順次実施される医師の働き方改革推進のための各種施策によって、その状況が改善されることに期待を寄せるとともに、「医師の働き方改革における救急医療の確保のためには、都道府県並びに郡市区等医師会と行政との連携により、支援が必要な地域や医療機関を速やかに把握していくことが重要になる」との考えを示した。
 また、大学からの医師の引き上げの影響は、人口が比較的少ない地域の2次救急医療機関で大きく、地域住民にとって身近な救急医療へのアクセスが失われる恐れもあると指摘。「救急医療へのアクセスについては、地域格差の発生・拡大を防ぎ、国民医療を守っていくためにも、医師の派遣や公的な財政支援等により、対応困難な個々の救急医療機関、特にその多数を占める民間施設を支え、働き方改革の達成に導いていく方策が重要である」とした。
 その上で日医でも、本調査を踏まえ、来年度の政府予算概算要求の要望書(案)に、かかりつけ医機能及び身近な入院機能を担う中小病院や有床診療所への支援を新たな要望事項に掲げる方向で検討していることを明らかにした。
 会見に同席した横倉会長は、「さまざまな手段を講じなければ地域の救急医療が崩壊する可能性がある」として、地域医療対策協議会等で検討することを求めるとともに、医師増員のための診療報酬上の対応や地域医療介護総合確保基金の活用など、支援策を講じる重要性を強調した。

主な調査結果の概要
  • 2024年度以降の医師への労働規制の導入について、「今後5年の間に、時間外勤務時間を月80時間(年換算960時間)以内にすることは可能か」との問いに対し、5割弱から7割程度の医療機関(救急医療部門)は、「おおむね対応可能」との回答であった。
    他方、救急車受入台数1000台以上の2次、3次救急医療機関では「対応不可能」「医師の半数程度が可能」「3分の1のみ可能」は、3割強を占めた。
  • 「『他院での勤務も含め』勤務時間(年間)を、今後5年の間に1860時間以下とすることは可能か」との問いについては、救急車受入台数1000台以上の2次救急医療機関及び3次救急医療機関の5割程度は「おおむね対応可能」と回答したが、「分からない」との回答も4分の1を占めた。
  • 「対応不可能」等への対策としては、いずれの施設類型においても「医師の増員」が最も多く、「現状維持」や「救急医療の制限」が続いた。
  • 勤務間インターバルへの対応が困難な施設でも、その策としては「医師の増員」が最多であった。逆に考えれば、「医師の増員」が実現しなかった場合は、労働法規違反や救急医療の制限が起こり得ると考えられる。
  • 当該病院からの大学派遣医師の引き上げについては、4~5割強の施設が救急医療への影響を認めた。特に、人口30万人までの地域に立地する2次救急医療機関であって、当該地域には、他の2次救急医療機関が存在しない、1カ所若しくは2、3カ所のケースを見ると、6割の施設が「救急医療が成り立たなくなる」「相当程度の部門縮小」などを挙げた。
  • 医師から看護師等の他職種へのタスク・シフティングについては、7割程度の施設が「どの業務をどのように委ねるか、十分な検討が必要」を選択し、即座に実施できるものではないことが分かった。

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