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令和7年(2025年)11月26日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

「令和7年度医師の働き方改革と地域医療への影響に関する日本医師会調査結果」について

 城守国斗常任理事は、「令和7年度医師の働き方改革と地域医療への影響に関する日本医師会調査結果」を公表した。

 調査は8月22日~9月11日に実施。調査対象は、全国の病院と有床診療所の計1万3264施設で、3843施設から回答を得た。回答率は対前年比0.3ポイント増の29.0%であった。

 まず、「地区ブロック別」「病床規模別」の回答状況等に言及した後、回答のあった全医療機関のうち特例水準の指定を受けている医療機関は322施設(8.4%)で、B水準が最も多い状況であるとした。

 続いて、令和6年4月の制度開始から1年が経過した今年4月以降の「自院の医療提供体制における影響」として、前回調査から影響が「縮小している項目」「増加している項目」について言及。

 縮小している項目としては、「宿日直体制」「救急医療体制」が挙げられるが、現時点では大きな影響は出ていないとした。

 増加している項目として挙げられた「周産期医療体制」「小児医療体制」「教育・指導体制」「外来診療体制」「管理者(病院長)の業務負担」「手術件数」「入院診療体制」について、それぞれさまざまな要因が考えられる中で、増加している状況が見られるが、現時点では大きな影響は出ていないとした。

 また、医師の派遣・受け入れでは、医師を派遣している医療機関(派遣・受入の両方に該当を含む)623施設(16.2%)、医師を受け入れている医療機関(同)2684施設(69.8%)の状況について言及。

 医師を派遣している医療機関の「医師の引き揚げによる影響」「宿日直応援医師の派遣」について、現時点あるいは令和8年度以降の見込みでの影響はそれぞれ前回調査から大きな変化は見られなかったとした。

 医師を受け入れている医療機関の「医師の引き揚げによる影響」「宿日直応援医師の確保」については、現時点で引き揚げにより医師数が昨年度より減少している割合が若干増加しているが、その他については前回調査から概ね減少しており、大きな変化は見られなかったとした。

 前回調査とは調査客体が異なるものの、各医療機関では現時点で医師の引き揚げ等による影響が大きく出ていないと推察されるとの見解を示した。

 宿日直許可の有無に関して、有床診療所・病院別にみると、有床診療所では3割強、病院では9割強が「宿日直許可を取得」または「取得に向け対応中」となっており、前回調査から大きな変化は見られず、各医療機関の取得が高い水準で維持していることが見受けられるとした。

 続いて、「地域の医療提供体制における影響」として、令和7年4月以降の地域医療提供体制で実際に生じていると考えている問題点について言及。

 「救急搬送の受入困難(断り)事例の増加」が最も大きくなっており、前回調査に比べると調査客体が異なるものの、「救急搬送の受入困難事例」「専門的な診療科の紹介患者の受入困難事例」で増加が見られるとした。

 これらの調査結果を踏まえ、城守常任理事は、自院や地域の医療提供体制における影響については、「前回調査の状況よりも一部の項目で増加しているものの、現時点においては全体的に大きな影響は出ていないように見受けられる」としつつ、自院における「医師の引き揚げ」「宿日直応援医師の派遣制限」による影響は将来的な派遣医師の引き揚げが自院の医療提供体制にどのような影響を及ぼすか、引き続き調査していくとの考えも示した。

 加えて、自院の医療提供体制における影響の要因には、「医師の働き方改革」の他に「医師偏在(医師の不足等)」や「地域医療構想(医療機関の機能分化・連携等)」もあると考えられ、どの要因による影響が一番色濃く出ているかは医療機関の実情に応じて異なるものであると推測されるとし、「今後の調査では、医師の働き方改革による影響がどの程度あるのか、医師偏在や地域医療構想の要因を含めて何が最も大きく影響しているかについて、分析できる調査が可能であるかどうか検討していきたい」との考えを示した。

 さらに、今回の結果については、「都道府県別に集計したデータを各都道府県医師会にフィードバックし、都道府県行政と共有することで地元の医療機関への支援に向けた検討材料として活用して欲しい」とした他、日本医師会として、医師の働き方改革が地域医療に影響を及ぼさないように、医師の健康確保・医療の質の維持向上とのバランスを取りつつ、今後も医療関係団体と協力しながら対応していく姿勢を改めて強調した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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