2017年度総会より横倉会長がIPPNW日本支部代表支部長に就任した
2017年度総会より横倉会長がIPPNW日本支部代表支部長に就任した
広島と長崎に投下された原子爆弾は20万人以上の市民を無差別に殺害し、更に多くの人々を原爆後障害により苦しめることになった。
第二次世界大戦後には東西両陣営の対立が深まるとともに核兵器開発を加速し、両陣営が数万発の核兵器を保有するに至った。
一旦核戦争が始まれば人類が滅亡しかねない。このような冷戦の只中(ただなか)に米国とソ連の高名な心臓内科医であるバーナード・ラウン博士とエフゲニー・チャゾフ博士が中心となって、医師の立場から核戦争を防止する国際組織が1980年に設立された。
ちなみにラウン博士は、不整脈重症度のLown分類をつくり、また今日のAEDに繋(つな)がるQRS波同期直流電気除細動器の基礎を完成させた業績でも知られている。
この2人を中心に設立された組織IPPNW(International Physicians for the Prevention of Nuclear War:核戦争防止国際医師会議)は、世界各国に存在する医師組織の国際的連盟であり、核兵器廃絶と核戦争防止を共通の目標として活動している。特定のイデオロギーや政党の影響を受けないことを信条に、核戦争の脅威に対し、医療専門家として正しい知識の普及に努めている。
現在、世界61カ国に支部があり、医師、医学生、医療従事者などの会員は数十万人に上る。
IPPNWの第1回世界大会は1991年米国バージニア州エアリーで開催された。以後ケンブリッジ(イギリス)、アムステルダム(オランダ)、エスポー(フィンランド)、ブダペスト(ハンガリー)と各地で世界大会を行い、医師として核戦争によってもたらされる破滅的結果について知識を広め、人々の認識を高める活動を続けた。その実績が認められ、1985年にはノーベル平和賞を受賞している。
IPPNW日本支部は広島・長崎両県医師会が中心となって1982年に発足した。その後、広島、長崎、奈良、京都、福島、大阪、青森、山口、岐阜、三重、島根に府県支部を置き、IPPNW世界大会や北アジア地域会議で「原爆被爆の実態と放射線被曝の後障害」について教育講演やポスター展示を行い、核兵器の非人道性を世界にアピールし、核兵器廃絶への後押しを続けている。
2014年には、「日本支部学生・若手医師部会」を設立し、若い世代へ活動のバトンを渡せるよう積極的に支援を行っており、現在では若手医師が原動力となって活動が再活性化されつつある。
2017年5月には横倉義武会長(同年10月より2018年10月まで世界医師会長)がIPPNW日本支部代表支部長に就任し、同年9月にイギリスのヨークで開催されたIPPNW世界大会でスピーチを行った(別記事参照1)(別記事参照2)。
横倉会長の呼び掛けで日本支部の活動にも弾みがつき、佐賀・鹿児島・秋田・岡山・大分の各県医師会で新たな支部が創設された。現在、支部のない都道県においても、IPPNWの活動の趣旨をご理解頂き、ご参画を願いたい。
IPPNW日本支部の活動の詳細については、同支部のHP(http://www.hiroshima.med.or.jp/ippnw/)をご覧頂きたい。
◆問い合わせ先:IPPNW日本支部事務局(広島県医師会内 082-568-1511、082-568-2112、ippnw-japan@hiroshima.med.or.jp)