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平成30年(2018年)11月5日(月) / 日医ニュース

産業保健総合支援事業と産業医の組織化を巡って

産業保健総合支援事業と産業医の組織化を巡って

産業保健総合支援事業と産業医の組織化を巡って

 第40回産業保健活動推進全国会議が10月11日、日医会館大講堂で開催された。
 冒頭、あいさつで根本匠厚生労働大臣(椎葉茂樹厚労省労働基準局安全衛生部長代読)は、「産業保健活動に期待される役割は、労働現場における健康管理、作業管理等に集約されるが、平成29年3月に閣議決定された働き方改革実行計画では、『産業医・産業保健機能の強化』『治療と仕事の両立支援』を推進することが求められている」と指摘。
 また、本年6月に成立した働き方改革関連法の中で産業医による面接指導や健康相談等を確実に実施する仕組みの構築等と共に、産業医学の専門的立場から、より効果的な活動が行いやすい環境整備が労働安全衛生法の改正に盛り込まれた他、メンタルヘルス対策や治療と職業生活の両立支援に取り組む企業への支援の推進が求められていることを紹介。「厚労省としては、多様な働き方ができる社会の実現のためにも、それらの対策の実効性を上げることが不可欠であると考えている」として、理解と協力を求めた。
 横倉義武会長はあいさつで、「産業保健活動の推進は労働者の健康の保持増進を通じ、わが国の持続可能な社会の構築に貢献するものと確信している」とするとともに、働き方改革関連法が成立し、多様な働き方を実現する働き方改革を総合的に実現するための措置が講じられたこと、また、本年4月からは労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた第13次労働災害防止計画が始まったことに言及。「これらの状況からも産業保健機能の重要性がこれまで以上に高まることは明らかだ」として、産業医及び産業保健活動総合支援事業の果たす役割に期待感を示した。
 続いて、有賀徹労働者健康安全機構理事長並びに清水英佑産業医学振興財団理事長よりあいさつが行われた。
 その後、活動事例報告として、萩野とも子岩手産業保健総合支援センター産業保健専門職が「両立支援に係る取組」、小山善子石川産業保健総合支援センター所長が「メンタルヘルス対策支援に係る取組」、長谷川邦夫新潟地域産業保健センターコーディネーター及び翁長英好那覇地域産業保健センターコーディネーターが、それぞれの地域産業保健センターの活動について紹介した。
 次に、松本吉郎常任理事の司会の下、説明・報告が行われ、神ノ田昌博厚労省労働基準局安全衛生部労働衛生課長は、「最近の労働衛生行政の動向について」と題して講演を行った。
 同課長はまず、「働き方改革の背景」を報告した上で、「産業医・産業保健機能の強化」として、働き方改革関連法や労働安全衛生法改正の概要を解説するとともに、「治療と職業生活の両立支援」と「メンタルヘルス対策」等について説明し、理解を求めた。
 続いて、産業医の組織化について、徳竹英一埼玉県医師会常任理事が同県医師会における産業医委嘱契約システム等、松本雅彦同県医師会産業保健委員会委員長が大宮医師会産業医会の取り組み、次いで池田久基岐阜県医師会副会長が産業保健活動における取り組みについて、それぞれ紹介した。
 更に、及川桂産業医学振興財団事務局長が産業医需要供給実態調査事業について、松本常任理事が、「認定産業医に関する組織活動実態調査」結果から見る都道府県医師会の「組織化」に向けた取り組み状況について、それぞれ報告した。
 協議では、堀江正知日医産業保健委員会副委員長の司会の下、神ノ田労働衛生課長、大西洋英労働者健康安全機構理事、松本常任理事、及川産業医学振興財団事務局長の4氏が、埼玉県(大宮)・愛知県・滋賀県・岡山県の各医師会から事前に寄せられていた、①地域産業保健センター事業の支援対象に関する取り扱い②治療と就労の両立支援③ストレスチェック制度④定期健康診断後の事後処置⑤がん治療と就労における個別調整支援活動の実情と対策―等に関する質問・要望に対して、それぞれ回答した。
 また、総括産業医の有無の確認や平成30年診療報酬改定で新設された「療養・就労両立支援指導料」など、今後の課題についても認識を新たにした。

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