横倉義武会長は9月21日、釜萢敏常任理事と共に厚生労働省を訪れ、加藤勝信厚労大臣(当時)と会談。地域の実情に合わせた地域医療介護総合確保基金(以下、基金)の柔軟な運用を求める要望書を提出した。
要望書の中では基金について、地域における創意工夫を生かしながら、全国各地で効率的かつ質の高い医療提供体制や地域包括ケアシステムを構築していくために大変有用な制度となっていると評価。その上で、「2025年」や、その後のわが国の将来に向け、基金の実効性を高めるためには、各地域の実情をより反映でき、また地域での取り組みを支援する仕組みが不可欠だとして、地域の医療提供者を代表する立場から、(1)医療分につき、事業区分間の融通を認める、(2)都道府県が、地域の実情を的確に反映し、また事業計画を適切に立案できるよう、厚労省より積極的に指導、支援を行う―ことの2点を求めている。
横倉会長は会談の中で、基金は加藤厚労大臣(当時)が官房副長官時代に創設されたものであるとし、今回の要望の実現に向けた協力を要請。
釜萢常任理事は、「基金創設当初は事業区分間で融通することが可能であったが、現在は事業区分Ⅰの未執行分を事業区分Ⅱ及びⅣに該当する事業に活用することができないなど、柔軟な運用が認められていない」とその現状を説明した上で、都道府県医師会からも強くそれらの改善が求められているとして、要望への理解を求めた。
これに対して、加藤厚労大臣(当時)は、「地域医療構想を進める上で、基金の運用に柔軟性を持たせることは必要だと考えている」と述べるとともに、厚労省からの積極的な指導・支援を求められたことに関しても、「厚労省の事務局に伝える」として、一定の理解を示した。
地域医療介護総合確保基金に関する要望事項
一、医療分につき、事業区分間の融通を認めること特に地域医療構想の達成に向け、事業区分Ⅰ「地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業」は重要なものであります。 他方、地域包括ケアシステムの構築においては、在宅医療の基盤整備、地域に密着した医療機関の従事者の養成・確保が必要不可欠であり、地域の実情に応じた基金の運用が求められます。 とりわけ、各都道府県において、事業区分Ⅰの未執行分を事業区分Ⅱ「居宅等における医療の提供に関する事業」及び同Ⅳ「医療従事者の確保に関する事業」に該当する事業に活用できるような仕組みが必要です。 また、都道府県からの要望総額が、事業区分Ⅰに充てる額(本年度500億円)に満たない場合においても、柔軟に運用することが肝要です。 地域医療介護総合確保基金は、消費税増税分を財源といたしますので、その有効利用は、国民・納税者にもご理解いただけるものと存じます。 二、都道府県が、地域の実情を的確に反映し、また事業計画を適切に立案できるよう、厚生労働省より積極的に指導、支援を行うこと |