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平成29年(2017年)11月5日(日) / 日医ニュース

「脳血管障害 診療のエッセンス」をテーマに開催

「脳血管障害 診療のエッセンス」をテーマに開催

「脳血管障害 診療のエッセンス」をテーマに開催

 第61回社会保険指導者講習会(日医・厚生労働省共催)が、「脳血管障害 診療のエッセンス」をテーマとして、10月4、5の両日、日医会館大講堂で開催され、約300名の参加があった。
 羽鳥裕常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、「超高齢社会であるわが国においては、脳血管障害の発症予防と発症後対策は極めて重要な課題となっているが、近年、救急搬送体制の整備や検査機器の発達により、早期に明確な病変を発見することが可能となった。疾病の早期発見はかかりつけ医の役割としても非常に重要であり、最新の知識と技術を身につけ、日々の診療に役立てて欲しい」と述べた。
 また、平成30年度の診療報酬・介護報酬の同時改定や、今後策定される第7次医療計画と第7期介護保険事業(支援)計画において、かかりつけ医の役割がますます重要になると強調。「日医としても、かかりつけ医機能にかかる取り組みや成果を正しく評価し、医師の技術を始め、医療の基本である"人"に対して更なる手当てを行うよう、政府与党に強く要望していきたい」と述べ、理解と協力を求めた。
 鈴木俊彦厚労省保険局長のあいさつに続いて、2日間にわたって、脳血管障害の疫学と危険因子、脳梗塞の超急性期治療、脳血管障害の血管内治療の進歩、脳血管障害の外科的治療の現状等に関する講演と質疑応答が行われた。
 2日目の午後に行われた厚労省関係の講演では、まず、迫井正深厚労省保険局医療課長が、「平成30年度診療報酬改定に向けて」と題して講演した。
 同課長は、入院医療体制について、入院患者の将来推計のデータでは、高齢化により肺炎や心疾患、脳血管疾患が増える一方、悪性新生物はそれほど増えないとの予測があることに言及し、「このような実態を正確に把握し、将来を考えることが非常に重要である」とした。
 かかりつけ医の機能については、「かかりつけ医というと"病気の主治医"との認識が多いが、それ以外にもかかりつけ医に対する国民の期待は非常に大きい」と指摘。かかりつけ医機能をもつ医師は一般診療所に所属していることが多いとして、一般診療所の果たす役割に対する期待感を示した。
 遠隔診療については、「対面診療が大原則だが、遠隔診療の技術をうまく組み合わせていくことが重要である。今後、必ず使っていかなければならない技術であり、理解を得ながら、間違いのないように導入していきたい」と述べた。
 続いて、武田俊彦厚労省医政局長が「地域医療構想の実現に向けて」と題して講演。
 同局長は、まず、日本の高齢化について、日本の人口の推移を示しながら、「高齢化の進展には地域差があるが、首都圏を始めとする都市部を中心に高齢者数が増加している」と説明。その上で、「人口構成に対応した医療提供体制を再構築するためには、それぞれの地域の特徴に合わせた医療需要に対応した病院のあり方を考えていかなければならない」と述べた。
 また、地域医療構想と病院機能報告制度について、「さまざまな誤解が生じている」と指摘。病院機能報告は、地域において医療機関が"担っていると考えている機能"、医療需要(病床の必要量)の推計は、地域における"4機能ごとの患者発生量"であると解説した上で、「誤解のないように進めて欲しい」とした。
 講習会の最後には、中川俊男副会長が、地域医療構想の最近の状況について説明した。
 同副会長は、病床機能報告制度について、「地域における医療機能の分化・連携を進めることが目的であり、いずれの医療機能を選択した場合であっても、診療報酬上の算定に影響を与えるものではないことを、中医協の場で医療課長が明確に答弁している」と強調。
 更に、同副会長は、各医療機関が自主的に定性的に報告する病床機能報告と、一定の仮定の下に推計した参考値を示した病床の必要量は性質が異なり、単純に比較することはできないことを改めて概説し、正しい理解を求めた。

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