日医では、平成23年3月11日の東日本大震災の発災直後から、被災地以外の都道府県医師会の協力の下、JMAT(日本医師会災害医療チーム)を組織し、被災地の支援を続けてきた。
その派遣状況としては、これまでにJMATⅠ(避難所等における医療健康管理活動を中心として、主に災害急性期以降を担う)が1398チーム、JMATⅡ(災害関連死などの未然防止、仮設診療所や被災地の医療機関への医師派遣等を担う)が1365チーム、全体では延べ1万2628名が参加しており、日医はその活動が評価され、平成26年8月1日付で災害対策基本法上の「指定公共機関」に指定された。
その後、震災から5年が経過した現在では、JMATⅡは、そのほとんどが岩手県医師会の派遣するJMAT岩手のみとなり、岩手県知事及び陸前高田市長の要請により、岩手県医師会が運営する「岩手県医師会高田診療所」(平成23年に日赤救護所、日医提供のトレーラーハウスを利用して設置)が唯一の派遣先となっていた。
しかし、本診療所も本年3月20日に閉鎖することが決まり、これを受けて、JMATの創設を提言した「救急災害医療対策委員会」からは、同委員会が取りまとめた答申の中で、「岩手県医師会高田診療所」の閉鎖をもって、東日本大震災におけるJMATの活動を終了することが提案されていた。
これらの状況を踏まえて、日医では、3月15日に開催された平成27年度第12回理事会において、本件について協議を行い、その活動を終了することを決定。3月23日に行われた定例記者会見で、石井正三常任理事がその内容を説明した。
東日本大震災におけるJMAT活動の終了を受けて、横倉義武会長は、「会員の先生方には地震発災直後から支援活動にご協力頂き、改めて感謝申し上げたい。東日本大震災におけるJMAT活動は今回の決定を受けて終了となるが、日医では、今後も東日本大震災で得た教訓を基に、災害医療研修、訓練その他を実施するとともに、JMAT活動の更なる質の向上に向けた取り組みを継続していきたい」との考えを示した。