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平成27年(2015年)12月20日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

医師偏在解消策検討合同委員会「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」を公表

 日医では、現状の医師不足の本質である医師の地域偏在、診療科間の偏在の解消が喫緊の課題となる中で、全国医学部長病院長会議と共に、「医師偏在解消策検討合同委員会」を設置し、本年3月19日の第1回会合開催以来7回にわたって議論を重ねてきた。
 今般、「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言─求められているのは医学部新設ではない─」を取りまとめ、横倉義武会長が12月2日、小川彰・森山寛両全国医学部長病院長会議顧問らと共に合同記者会見を行った。
 横倉会長は、まず、同提言の大きな柱として、(1)医師キャリア支援センターの設置、(2)医学部入学定員の削減と新たな医学部設置認可の差し止め─などを挙げた。
 (1)については、「医師キャリア支援センター」を各都道府県に設置し、各都道府県の「地域医療支援センター」が、「医師キャリア支援センター」と情報を共有して、地域の医師会及び医療機関と緊密に連携し、卒前・卒後教育について、積極的に取り組んでもらうものであると説明。例えば、秋田県では、卒前・卒後教育について、既に秋田大学を始め非常に積極的に取り組んでおり、秋田大学の今年のマッチングでは、これまでで最多となる84名の臨床研修医が来るなど、教育制度が良いと臨床研修医が集まるという実例と、更に大学と各病院との連携も非常に良く、秋田大学卒業生60名が県内に残ることなどを紹介。こうした取り組みが、「地域医療支援センター」と「医師キャリア支援センター」の連携により、全国に広がることに期待を寄せた。
 (2)については、平成20年度の医師確保対策以降、平成28年度には既存及び新設の医学部で1642名の定員増が行われる予定だが、それは約16大学医学部を新設したことと同義であり、平成28年度からは毎年1000名を超える定員増の学生が卒業するため、医師の絶対数の不足に対しては、順次、医学部定員増の効果が現れると期待されるとした。その一方、若年層を始めとした人口が減少する中で、養成費用も含めた医師養成数の議論も必要であるとの考えを示した。
 更に、医学部定員に関して、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」が設置され、その中で医師偏在の問題についても議論されるということであり、今回の緊急提言に示した考え方を基に議論が進められることを要望するとした。
 横倉会長は、「いずれにしても、現状の医師不足の本質は、医師の地域・診療科偏在で、これらの解消こそが喫緊の課題であり、その解決にはこの緊急提言の実現を進めることが肝要である」と述べ、今後も、本緊急提言を基に執行部内で更に検討を続け、国に提言していく考えを示しつつ、医学部に「医師キャリア支援センター」をつくることで従来の医局制度の復活になるのではないかと危惧する意見もあることから、「国立病院機構やJCHO(地域医療機能推進機構)などにも委員会に参加していただき、意見を聞きながら、それらの懸念を払拭し、適切な偏在の解消につながるよう、もう少し議論を深めていきたい」とした。
 次に、小川同会議顧問は、公務のため欠席の荒川哲男同会議会長に代わり、「既に国からも2025年には日本の10万人当たりの医師数は、OECDあるいはG7の世界標準の医師数に到達するとのデータが出されており、その6年前の2019年には医学部の定員削減が必要になる時代が来ている」と指摘。「医学部新設ではなく、医師の地域偏在・診療科間偏在の解消が最も重要であるとの視点から緊急提言をまとめた」と説明した。
 続いて、釜萢敏常任理事は、既に、同骨子を取りまとめたことについて、横倉会長が荒川同会議会長らと共に、8月19日に合同記者会見を行い説明した(別記事参照)ことに触れた上で、「同緊急提言は、今後の方向性を考える大枠であり、詳細な制度設計についての検討及び厚労省を始めとする関係部署との連携も今後必要となってくると考えている」と述べ、(1)医師キャリア支援センター(2)出身大学がある地域での臨床研修(3)病院・診療所の管理者要件への医師不足地域での勤務経験の導入(4)地域ごと診療科(基本領域)ごとの医療需給の把握(5)医学部入学定員の削減と新たな医学部設置認可の差し止め─という5つの大きな柱ごとに、提言の内容とその背景について詳細に説明した。
 なお当日は、合同委員会のメンバーである、杉浦哲朗高知大学医学部長、中川俊男副会長が同席した。

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