医師のみなさまへ

2023年12月7日

適正な移植医療の推進

臓器移植とは

 臓器移植とは、臓器の機能に障害がある人に臓器を移植し機能の回復を図る医療で、臓器提供者(ドナー)はもとより、広く社会の理解と支援があって成り立つ医療です。

 日本医師会生命倫理懇談会は、「脳死および臓器移植についての最終報告(昭和63年1月)」において、「死の定義:従来の心臓死のほかに、脳の死(脳の不可逆的機能損失)をもって人間の個体死と認めてよい」と、日本で初めて脳死を人の死とすることを公表しました。
その後、平成9年7月に「臓器の移植に関する法律」が施行され、日本で移植医療が開始されるようになりました。平成22年7月に改正法が施行され、本人の臓器提供の意思が不明な場合も、家族の承諾があれば、脳死下での臓器提供ができるようになり、また、15歳未満の方からの臓器提供も可能となりました。

 各国は、臓器取引や移植ツーリズムを抑止するとともに、臓器提供と臓器移植の自給自足の達成に努めるべきという国際的な原則を遵守し、自国民が公平に移植医療を受ける権利を確保し、医療ニーズに見合った体制整備の構築を行うこととされています。

臓器取引と移植ツーリズムに関するイスタンブール宣言(2018年版)

日本における課題

 現在、国内にはおよそ16,000名の移植希望者がおられますが、臓器提供数は年間100名ほどと世界の中でも非常に少なく、十分な移植医療を実施できない危機的状況です。

臓器提供の意思表示をお願いします

 世論調査(令和3年度)では、脳死と判断された場合に臓器提供したいと回答した40%の方のうち、意思表示をしている方は10%でした。また、本人の意思が不明な時には家族が本人の意思を推定して決定しますが、これを負担に感じると回答した方は85%でした。このことから、ご自身の意思を表示すること、周囲の方へ知らせておくことがとても重要です。
 臓器提供の意思表示は、健康保険証・運転免許証・マイナンバーカード・意思表示カード・インターネットによる意思登録により行うことができます(なお、提供したくない方の意思も尊重されます)。

違法な臓器売買・海外渡航移植に巻き込まれないようご注意ください

 国内の臓器提供数が少ないため、無許可のあっせん業者が仲介する違法な臓器売買や海外渡航移植事案が発生しています。病状についてはまず、国内の移植専門医に相談してください。

◆ 厚生労働科学研究移植医療基盤整備研究事業YouTubeチャンネル

「海外渡航移植動画(日本語翻訳版)」(放送時間:約2分30秒)

関連リンク

◆ 厚生労働省

  • 関係法令、通知

◆ 厚生労働省

  • 臓器移植について
  • 臓器移植普及推進月間(毎年10月)

◆ 日本臓器移植ネットワーク(JOT)

死後に臓器を提供したいという人やその家族の意思を活かし、臓器の移植を希望する人に最善の方法で臓器が贈られるように橋渡しをする日本で唯一の組織です。

  • 移植に関するデータ(移植希望者数、臓器提供数/移植数)
  • 意思表示の方法
  • 移植経験者、臓器提供ご家族の手記

◆ 日本移植会議

日本の乏しい状況を改善し、患者・家族と医療者が共に新しい移植文化を創るための場として、2019年に発足しました。日本医師会会長が議長を務めています。

  • シンポジウム「救える命を救うために」開催(令和5年9月30日)
    ※オンデマンド配信をご覧いただけます
お問い合わせ

日本医師会医療技術課: