医師会の取り組み
地域住民の健康を守る(姫路市医師会)
地域のニーズを汲み取る
地域によって、抱えている健康問題や、医療提供体制等の事情は異なります。地域住民に近い存在として、地域の事情を住民との関わりから把握し、地域のニーズに即した取り組みを行っているのが全国891箇所にある郡市区等医師会です。各郡市区等医師会は、医師会病院の運営など医療提供の現場の担い手として機能するだけでなく、それぞれの地域で特色ある取り組みを行っています。
今回は、兵庫県の姫路市医師会の皆さんにお話を伺いました。
地域住民と共に考える
姫路市医師会では、救急医療フォーラムや在宅ケア会議、地域医療連携室による出前講座など、医療に関する情報を市民に伝えるための様々な取り組みを精力的に行っています。
「私は地域医療連携室の看護師として、地域の皆さんが、住みなれた地域で最後まで自分らしい暮らしを送ることができるよう、医療をよく知り、正しく利用していただくための活動を行っています。具体的には、地域の自治会単位で行われる集会などに地域連携室の職員が出向いて行う出前講座などです。
現在、地域の皆さんの関心が特に高いと感じているのは、認知症と救急医療の分野です。それを受けて最近は、住民と医療者が一緒に認知症のことを考えるグループワークなどを行っています。講義形式で一方的に情報を伝えるだけではなく、一緒に考えて、自分の言葉で話してもらう。そうやって『自分ごと』として捉えてもらうのが大事なのかなと思います。」(地域医療連携室 成定啓子室長)
「祭り」で全世代にPR
姫路市医師会は、2016年4月に、姫路健康フェスティバル2016を開催しました。ご当地グルメの屋台や、ご当地キャラクターとの写真撮影会などの楽しいイベントを交えながら、幅広い年齢層の地域住民に医療や姫路市医師会について知ってもらう試みで、2014年に続いて2回目の開催となりました。
「お祭りの形にすることで、楽しく、幅広い世代にアプローチできるんです。医療や健康に関する情報提供はもちろんですが、姫路市医師会のことを、地域の皆さんにもっと知っていただきたいという狙いもあります。『医師会』というとどうしても堅いイメージを持たれてしまうのですが、こうしてみんなで楽しく勉強していきましょうという雰囲気があるんだ、ということを伝えたいです。皆さんには楽しみながら医療のことを知っていただき、そこから地域みんなで支え合うような関係作りへ繋げていきたいと考えています。」(北村嘉章副会長)
今回の健康フェスティバルでは『寸劇DE在宅医療のご案内』と題し、肺がん患者の在宅療養から看取りまでを寸劇仕立てで紹介する企画を行いました。
「寸劇には、地域の皆さんに知ってほしいことをたくさん盛り込みました。事業者の協力を得て、在宅酸素療法や訪問入浴サービスで実際に使う器具を見せて説明をする場面も入れています。在宅医療でここまでできるんだ、ということを知ってほしいのです。
姫路市でも今後高齢化が進んでいくなかで、在宅医療の需要は高まっていくと思います。しかし、日頃病院と縁がない方の場合、在宅医療のことを全く知らないことも多い。医療は、医療者と患者さん自身が一緒に決定するプロセスが大事です。しかし、病院に行ってから知ったり考えたりしていては、本当に納得できる決定をするには遅いこともあります。病院にかかる前から、いざという時に自分がどうしたいかを考えておくことが重要です。この健康フェスティバルを、自分や家族が将来関わるかもしれない医療について、地域の皆さんが主体的に考えるきっかけにしていただけたらと思います。」(山本一郎副会長)
最後に、今後はどのような取り組みを行っていきたいと考えているのか伺いました。
「今後は、地域医療を担う医師など、かかりつけ医となる医師と地域住民が一緒に手を取り合えるような取り組みを行っていきたいと考えています。そのために、住民はもちろん、地域の医療機関の関心をさらに高められるような仕掛けを考えていきたいですね。」(空地顕一会長)
(写真)後列左から成定室長、北村副会長、前列左から山本副会長、空地会長
※記事内の肩書きは、取材当時のものです。
姫路健康フェスティバル 2016
開催概要
日時:平成28年4月24日(日) 9時30分~16時
場所:イーグレひめじ・大手前公園
主催:姫路市医師会
共催:姫路市
(写真)会場は姫路城のすぐそばでした!
PROGRAM
開会セレモニー
桂米朝一門落語会
講演:「災害時の医療チームの働き」
講演:「子供の急病『こんな時どうすればいいの?』」
寸劇 DE 在宅医療のご案内
EVENT
- 救急車やドクターカーの展示
- 自衛隊展示コーナー
- 体操コーナー
- 体験コーナー
検査・自己診断・調剤体験ゾーン ・調剤体験 ・顕微鏡観察体験 ・ヘモグロビン測定 | 救急・災害医療の体験ゾーン ・AED体験 ・災害救助等のパネル展示 (JMAT・自衛隊) | 医療のお仕事体験ゾーン ・心電図体験 ・超音波体験 ・内視鏡体験 |
食生活を考えるゾーン ・食育SATシステムによる食事診断 ・がん検診啓発ブース ・乳房視触診体験 ・車いす展示ブース ・サンプル展示コーナー | 簡単な健診を受けてみよう!ゾーン ・骨密度測定 ・握力測定 ・体脂肪測定 ・血圧測定 ・視力測定 ・人間ドックのご案内 ・がん検診実施状況 | 体を使った体験ゾーン ・まちの保健室ブース ・高齢者体験 ・妊婦体験 ・赤ちゃん抱っこ ・聴診器体験 ・子ども血圧体験 |
この他にも、子どもたちによるお茶席やサイエンスショー、ご当地キャラクターとの写真撮影など、楽しいイベントが盛りだくさんでした!
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- Information:Summer, 2016
- 特集:患者と医師の関係を考える ~上手に使おう、診療ガイドライン~
- 特集:患者・医師間の情報格差
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- 特集:診療ガイドラインを活用しよう
- 特集:患者本位の医療を目指して
- 特集:診療ガイドラインQ&A 教えて、山口先生!
- 同世代のリアリティー:「国」を動かす官僚の仕事 編
- チーム医療のパートナー:視能訓練士
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- 10年目のカルテ:心臓外科 山下 築医師
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