

2025~2026年度武見フェロー帰国報告会が8月18日、日本医師会館で開催され、ハーバード大学T.H.Chan公衆衛生大学院武見国際保健プログラムで研究に従事し、帰国したフェロー2名から研究成果の発表が行われた。報告会には、日本医師会役員、日本製薬工業協会(製薬協)、武見フェロー、日医総研の研究員らが参加した。
冒頭のあいさつで松本吉郎会長は、本プログラムについて、多様化する国際保健分野においてもユニークな学際的プログラムであることを説明。その上で、長年にわたり資金援助を行う製薬協を始めとした本プログラムの支援者に対して感謝の意を述べた。
続いてあいさつした後藤あや武見プログラム主任教授は、日本医師会と日本製薬工業協会からの支援に謝意を述べるとともに、昨年は厳しい環境下で渡米できないフェローもいる中で、5名のフェローの指導と教育・研究環境を整えたことなどを紹介。今回発表を行う日本人フェロー2名に対しては、研究成果と今後の歩みに期待を寄せた。
引き続き、アミール偉福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座助教が「東京電力福島第一原子力発電所事故後に発生している放射線被ばくに伴う健康影響に関する、差別・偏見・風評の払拭(ふっしょく)に向けた研究」と題して、原発事故から15年を経ても、放射線の次世代への影響が高いと考える人が約4割に上っていることを報告。これらが差別・偏見・風評につながることに懸念を示した。
また、医学生の理解と発信力を高めるため、担当授業の「放射線生命医療学」を、基礎知識に加え「事故直後」「現在」「未来」へという時系列に沿って体系化したところ、学生の理解が進み、根拠に基づき伝える姿勢も確認されたことを説明。これらの成果を国内外に展開していくことに意欲を示した。
続いて、山口佳小里国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部主任研究官が「在宅高齢者の介護保険サービス利用におけるCOVID―19流行の影響:全国データを用いた時系列分析」と題して報告。2016~2023年度の全国月次データで主な在宅サービスの提供量を分析した結果、コロナ禍では通所から訪問へサービスがシフトする一方、その影響はサービスの種類により異なっていたとし、「このような緊急時のアクセス確保には、サービスに応じた代替提供体制と柔軟な人材・資源配置が重要になる」と述べた。
また、ウズベキスタンで日本の制度を現地に合わせて応用した結果を基に、訪問リハビリテーションのサービス提供基準を策定した成果も紹介。今後は障害のある人の健康格差や各国のリハビリテーション提供体制に関する共同研究を進める考えを示した。
最後に濵口欣也常任理事から、2027~2028年度の武見フェローを募集中であることが紹介され、報告会は終了となった。



