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令和8年(2026年)6月5日(金) / 日医ニュース

俯瞰(ふかん)と主観

 1年ぶりに、病院勤務医時代の先輩に麻雀に誘われた。聞けば「友達が認知症初期と診断され、その進行を遅らせるために麻雀が良いので付き合って」とか。ご指定の日は祝日で、予定が空いていた。「先輩に会うことが目的」と自分に言い聞かせ、お受けした。
 10歳になる前から、「家庭麻雀」で鍛えられたためか、高校・大学や医局時代に友人や先輩と麻雀をして「強いな」「うまいな」とか感じたことはあっても、「こいつにはかなわないな」と思ったことは一度もなかった。
 時が過ぎ、今回また久しぶりに麻雀に触れ、その面白さを再確認するとともに、このゲームに最も求められる力は「俯瞰力」だと改めて感じた。
 ともすると、目の前の自分の手牌(てはい)(トランプで言えばカード)にのみ目を奪われ、相手3人のプレーヤーのことが何も見えない、いや分かっていても独善に陥り、その恍惚(こうこつ)感の中で、周りを見たくない、夢を見たい。
 このゲームの面白さは、そんな人間の性(さが)と、自らの理性との闘いと葛藤の中にあるような気がする。
 それでは、そんな「俯瞰力」だけがあればこのゲームは常に強いのか、と問われれば経験的にはそうでもない。ある時には自己中心的・主観的になり目をつむって前に進む、そういう割り切りが必要になる。最も大事なのは、それらのバランスとタイミングなのだと思う。
 組織を引っ張っていくのに重要と言われる「俯瞰力」。年齢とともに「自分を俯瞰する力」ですら乏しくなってきていると感じる。「そろそろ......?」。

(翔)

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