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令和8年(2026年)4月20日(月) / 日医ニュース

スイッチOTC化について検討する場を設けることを了承

スイッチOTC化について検討する場を設けることを了承

スイッチOTC化について検討する場を設けることを了承

 第35回日本医師会・日本臨床分科医会代表者会議が3月16日、都内で開催され、日本医師会からは松本吉郎会長を始め各役員が出席。各会の代表者らと意見を交わし、スイッチOTC化の問題について、個別の検討の場を設けることとなった。
 当日は、冒頭、幹事を務める伊藤隆一日本小児科医会長から、各医会や医師会の意見交換の場として本会議を開催する旨のあいさつがあった。
 続いて、あいさつした松本会長は、スイッチOTC化の問題に触れ、「共通認識を醸成するためにも本日は忌憚(きたん)のない意見をお願いしたい」と述べた。
 議論に先立ち、松岡かおり常任理事は日本医師会ドクターバンクについて、昨年11月に女性医師バンクから改称し、中身をリニューアルするとともにハローワークとの提携も進めていることを説明し、各医会・学会における活用や周知への協力を要望した。
 今村英仁常任理事は、現在スイッチOTC化の候補として挙げられている成分について、「これらがOTC化されると、しびれや痛み、冷感などの症状に自己判断で漫然と使用される可能性や、腰部脊柱管狭窄症、閉塞性動脈硬化症などの基礎疾患の診断遅れが生じる可能性がある」として懸念を示した。
 続いて、13の医会から問題意識や課題などについて発表がなされた。
 日本眼科医会は、低濃度アトロピン点眼は近視の治療に一般的に用いられるにもかかわらず自由診療とされていたが、6月からは選定療養となることを報告。一歩前進との認識を示すとともに、「近視は緑内障、白内障、網膜疾患等の大きなリスクファクターとなることから、成長期には近視抑制を、成人には眼底検査を促していきたい」とした。
 日本臨床外科学会は、令和8年度の診療報酬改定において外科医の待遇改善につながる手当てがなされたことに謝辞を述べた上で、外科医不足が深刻化する中、元気な高齢医師が活躍できるような環境整備に努めていきたいとした。
 日本産婦人科医会は、RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ)が4月から定期接種化されることを評価する一方、出生後に予防するためのRSVモノクローナル抗体接種も定期接種化できるよう努めていくとした。
 また、産科診療所の4割以上が赤字であり、アンケートによると、正常分娩の費用が保険適用となった場合、取り扱いをやめる可能性のある産科診療所は590施設中401施設あることなどを紹介。2月17日には「地域周産期医療体制の崩壊を防ぐための緊急提言」を厚生労働大臣に提出したとし、その後押しを求めた。
 日本臨床耳鼻咽喉科医会は、誤嚥性肺炎の予防の観点から、「のどフレイル」(健康なのどと嚥下機能低下症の間にある未病の状態)という新概念を提案。嚥下訓練など早期に介入することにより機能の維持・回復が望めるとして、「嚥下キーパーソン制度」を設けたことを説明した。
 日本小児科医会は、少子化の影響を受けて経営が悪化し、学校健診のために休診することが厳しくなっていることや、乳幼児健診などでも医療DX化が進んだことで事務負担が増大している実情を吐露。形骸化している学校の集団健診の在り方についても改革の必要性を訴えた。
 日本臨床整形外科学会は、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」のヒアリングにおいて、セレコキシブ(消炎鎮痛剤)とロコアテープ(消炎鎮痛外用剤)のスイッチOTC化に反対したことを報告。スイッチOTC化は国民の健康向上に資するものではないとして、今後も反対の立場をとっていくとした。
 日本精神神経科診療所協会は、前回の診療報酬改定で通院精神療法の点数が引き下げられたことで精神科の経営が厳しくなったものの、令和8年度の改定で若干改善される見込みとなったことを説明。オンライン精神療法については、「安易な診療を防ぐため、初診の場合は行政職員などが付き添う必要があるのではないか」と述べた。
 日本臨床内科医会は、抗インフルエンザ薬である「オセルタミビル」と「ラニナミビル」のスイッチOTC化が提案されたことに言及。正確な診断の下で投与されるべき抗微生物薬が議論の対象になるのは、薬剤耐性対策に真っ向から反する異常な状況であるとして、対象選定について適切なシステムを構築することを要望した。
 日本臨床脳神経外科学会は、急性期医療機能の集約化に当たり、急性期病院の要件として量的実績(救急搬送件数や全身麻酔手術件数など)が重視されれば、救急現場の混乱を招くばかりでなく、全身麻酔を要しない治療が増加している実態とも乖離(かいり)すると指摘。地域の実情や手技の変化なども踏まえた、柔軟で現実的な制度設計を求めた。
 日本臨床泌尿器科医会は、安易なオンラインでのAGA診療により、精巣が萎縮したり、前立腺がんのPSA検査値が減少することで治癒したと勘違いする患者がいることを危惧。スイッチOTC化に関しては、泌尿器科関連で既に認められた薬もあることから、3回目の購入に当たっては専門医を受診するなどの条件を付けるよう要請していきたいとした。
 日本臨床皮膚科医会は、OTC類似薬の追加負担が検討されている状況を踏まえ、難病や慢性疾患など長期使用が必要な患者、社会的弱者への配慮などを求めた要望書を2月に厚労大臣に提出したことを報告。また、今回の診療報酬改定を受け、皮膚科医が少ない過疎地域の内科医等からの相談にオンライン上でアドバイスすることが増えるのではないかとの見通しを示した。
 日本放射線科専門医会・医会は、我が国では医療被曝(ひばく)が多く、ゲートキーパーとなる放射線科医が少ないことや、重複した検査が行われているなどの問題点があることを指摘。国際的な専門分化の遅れを解消すべく、4月に放射線科の視点から専門医制度をテーマとしたシンポジウムを開催することを紹介した。
 日本麻酔科医会連合は、特定行為に係る看護師の研修制度において、術中麻酔管理領域のパッケージ研修修了者が右肩上がりで増加していることや、麻酔関連偶発症例調査では、麻酔管理報告症例数が増える一方、死亡数・心停止数は下がり続けていることなどを報告した。
 議論においては、菅原正弘日本臨床内科医会長よりスイッチOTC化に関し、国民の一人が提案すれば議論の対象になり得てしまう現在の仕組みを変えるべく、医療界が協力して要望を行っていくべきとの呼び掛けがあったことを受けて、松本会長はスイッチOTC化にテーマを絞った話し合いの場を設けることを提案し、了承された。

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