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令和8年(2026年)1月20日(火) / 日医ニュース

「こどもの救急~夜、休日、急に具合が悪くなったときには?」をテーマに開催

鈴木神奈川県医師会長鈴木神奈川県医師会長

鈴木神奈川県医師会長鈴木神奈川県医師会長

 「地域に根ざした医師会活動プロジェクト」第5回シンポジウムが昨年12月7日、「こどもの救急~夜、休日、急に具合が悪くなったときには?」をテーマに、日本医師会館大講堂とWEB配信のハイブリッド形式により開催された。
 冒頭、ビデオメッセージであいさつした松本吉郎会長は、医師や医療機関は、子どもの体調不良を始めとする時間外救急対応や健康を支える活動において、保護者の不安に寄り添い、支援に尽力しているとした上で、一人一人の医師が全てのケースに対応するには限界があるため、各地域で医師会を通じて持続可能な体制の構築を行っている点に言及。「今回のシンポジウムを参考にしながら、子どもの救急における地域に根差した医師会活動への理解を深めて欲しい」と述べた。

第1部
「医師会とこどもの初期救急~救急か、様子見か?~」(座長:鈴木紳一郎神奈川県医師会長、司会:黒瀬巌常任理事)

 第1部では、まず、鈴木会長が座長によるイントロダクションを実施。地道な医師会活動が日本の医療の成果につながってきたとし、医師会の三層構造を紹介。具体的には、(1)郡市区医師会が地域住民に寄り添い、市区町村のカウンターパートとして地域保健、予防、地域包括ケアを行っている、(2)都道府県医師会は都道府県と共に地域医療構想や医療計画、医療提供体制づくりを進めている、(3)日本医師会は保健、医療、介護・福祉に関する制度設計や、財源の確保の役割を担っている―とした。
 この他、初期救急医療機関には地域で診療の空白時間が生じないよう努めることが求められていることや、神奈川県における小児救急医療体制、小児医療圏の現状なども紹介した。
260120c2.jpg 続いて、市場卓松戸市医師会副会長が「松戸市夜間小児急病センター~医師会員が交代で診る体制~」と題して講演した。
 同センターは松戸市医師会が運営し、松戸市総合医療センターの小児科医と小児専門医(松戸市・他市の開業医と病院勤務医)、小児科非専門医の開業医の計78人がローテーションを組んで、小児科専門医と非専門医をセットにした診療体制を構築している点に言及。「来院患者の中には入院対応が必要なケースや、軽症だと思われるが、判断に迷うケースが当然ある。非専門医が困った場合には専門医がバックアップできる体制を取り、非専門医が安心して救急医療に参加できるようにしている」と説明した。

260120c3.jpg 次に、茶川治樹山口県医師会常任理事/岩国市医療センター医師会病院長が「来院型オンライン診療~小児科医不足への一策~」と題して講演。
 同病院では休日・夜間の小児救急は小児科の医師会員(開業医)が交代で担当していたが、会員の高齢化と新規開業の減少で人員確保が困難となり、昨年4月から対面診療を補完する目的で、D to P with Nによる小児の来院型オンライン診療を開始したことを紹介した。
 また、来院型オンライン診療では、患者が看護師の補助を受けながら、専用診察室からビデオ通話によって遠隔で医師の診療を受けられるとし、「医師が必要と判断すれば、感染症などの迅速検査、血液・尿検査、吸入、点滴などを医師の指示の下、看護師が実施する。救急医療における新たな診療の選択肢としての活用が見込まれる」と述べた。
260120c4.jpg 最後に、當間隆也沖縄県医師会理事が「小児救急電話相談・沖縄県の小児救急適正受診~LINE×AIチャットボットを活用した#8000LINEアカウントの開設~」と題して講演した。
 當間理事は同アカウントには、①気になる症状で受診の判断②#8000に電話をかける③子ども救急ハンドブックの閲覧④小児救急医療機関の確認―という四つの機能があることを紹介。例えば、①は、年齢や症状を選択することで、その場で症状に応じた救急度の判定が可能となり、同アカウントの機能を使うことで、受診せずに自宅で様子を見ても大丈夫かどうか判断することにつながる利点などを強調。引き続き、同アカウントの利活用を促進することで、小児救急の適正受診を図っていく姿勢を示した。

第2部
「重症の患者さんに対応する2次・3次救急医療機関~小児の初期救急との連携・役割分担~」(座長:松﨑信夫茨城県医師会長、司会:黒瀬常任理事)

260120c5.jpg 第2部では、まず、座長によるイントロダクションが行われ、松﨑会長が、重症小児救急を守る地域設計としては、救急車・救急外来の不適切利用を責める前に、受け皿の整備が必要であることなどに触れた上で、「初期~3次救急医療機関の明確な役割分担と連携に強く関わることが医師会の役割だ」と訴えた。
 加えて、救急車の要請時に緊急性が認められない救急搬送患者に対する選定療養費徴収を、茨城県で導入したことにも言及。導入後の茨城県における2024年12月~2025年9月期の救急搬送数について、全年齢の搬送件数は対前年同月比で6・2%減、このうち軽症は18・6%減、18歳未満では8・8%減、このうち軽症は16・2%減だったことも報告した。
260120c6.jpg 次に、森雅人松戸市立総合医療センター小児医療センター長・小児科小児集中治療科部長が「松戸市立総合医療センター『小児医療センター』~松戸市夜間小児急病センターとの連携の視点~」と題して講演した。
 2025年4~9月における夜間小児急病センターでの夜間、休日受診者は2646人で、この中から200人(7・5%)が松戸市総合医療センターに紹介され、このうち100人(50%)が同センターで入院となったことなどに触れ、「夜間、休日の1次診療を他施設や夜間小児急病センターが行うことで、2次、3次医療機関は処置、入院を必要とする患者さんに注力できている」と強調。2次・3次救急医療機関には、医師会を始めとする夜間・休日の1次診療の安定と連携が不可欠とした他、「医師会との顔の見える関係が小児医療を支えている」と述べた。
260120c7.jpg 続いて、川越正平松戸市医師会長が指定発言を行い、夜間小児急病センター以外の活動を紹介。地域に根差した医師会活動として、①地域の"砦"である病院を守る②医療の体制を堅持するための不断の努力③子どもの健康と暮らしを守る④地域の健康意識や共生社会を醸成する―といった視点を大切にしているとした。
 ①では、適切な外来診療によって入院を防ぐために、「急性疾患の発症予防や早期介入」「予防接種」「慢性疾患の定期管理による急性増悪の防止」といったACSCsへの対応などに注力していることに触れた上で、「小児の急病としては、感染症が多い。流行期には入院医療機関に大きな負荷が掛かるため、その負担をいかに軽減していくかが大事だ」と訴えた。

パネルディスカッション
(座長:渡辺弘司常任理事)

260120c8.jpg パネルディスカッションの冒頭には、急きょ和座一弘前松戸市医師会長が登壇し、松戸市医師会が2015年から取り組んでいる、医師による小中学校向けの出前授業「まちっこプロジェクト」の誕生秘話などを披露。単に知識を高めるためではなく、子ども達が自分達で考え、参考になった授業内容を周囲に伝える点が重要な要素になっていると指摘。「例えば、私が禁煙の話をしたら、子ども達はたばこをやめましょうと、お父さんに話してくれる。大げさかも知れないが、自分で社会を変えることに参加する。子ども達がいろいろなことにどんどん参加する。そのことで非常に心が晴れやかになって、自発的で自尊心の強い人に育つのではないか」と述べた。
 医師会だけではなく、教育委員会などさまざまな関係者と連携することにより、同プロジェクトが成り立っていることにも触れ、「これからも多くの関係者と一緒になりながら続けていきたい」と話した。
 その後は登壇者同士による活発な意見交換が行われ、茂松茂人副会長の総括により終了となった。

お知らせ
260120c9.jpg 「地域に根ざした医師会活動プロジェクト」第5回シンポジウムの模様は、特設サイト並びに日本医師会公式YouTubeチャンネルでご覧頂けます。ぜひ、ご覧下さい。
特設サイト:https://www.med.or.jp/people/chiiki-pj/
公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/watch?v=gZsHAKUEL7o

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