令和6年(2024年)10月20日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース
文部科学大臣への提言・要望書提出並びに「学校健康診断実施上の留意点」の作成について
渡辺弘司常任理事
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日本医師会定例記者会見 9月25日・10月2日
渡辺弘司常任理事は、(1)盛山正仁文部科学大臣(当時)へ学校保健に関する提言・要望書を提出、(2)「学校健康診断実施上の留意点」を作成―したことを報告し、その内容について概説した。
同常任理事は(1)について、8月21日に松本吉郎会長と坂本泰三常任理事と共に盛山文科大臣に対して、①学校健康診断のあり方に関する検討②健康教育の推進③教師の働き方改革推進と教育の質向上―の3点の提言と要望を行ったことを報告。①では「学校健診のあり方を改めて考えるべき」ということが述べられている、②では日本医師会としてかねて重要と訴えている児童生徒の健康教育の更なる充実について記されている、③では教職員の働き方について記載されている―ことをそれぞれ説明した。
特に、③に関しては、学校保健安全法第1条に「学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るため、学校における保健管理に関し必要な事項を定める」と規定されている他、過労死等防止対策推進法に基づき作成された「過労死防止大綱」の中で教職員は重点業種として位置付けられていることに触れ、「認定産業医を養成し、産業保健活動を推進している日本医師会としても、教職員の健康は極めて重要と考えている」と主張。盛山文科大臣に対しても、「教職員が健康で生き生きとしているからこそ、児童生徒に良い教育を提供できるものであり、教職員の働き方改革だけでなく、教職員の養成、教育行政の充実についても、児童生徒の未来のためにしっかりと考えていくべき」と提言したことを報告した。
これらの要望に対して、盛山文科大臣は、学校健康診断について、「時代に合わせた見直しは必要だ」として、関係省庁と連携しながら対応していくとするとともに、実施する側の負担軽減も図っていく必要性についても言及。教職員の働き方改革に関しても、現在働いている教職員の心身の健康だけでなく、将来教職員を志望する人についても、労働環境を理由に採用試験を避けることがないように対応を進めていく意向が示されたことを明らかにした。
また、(2)については、学校健康診断において、学校と学校医との間で共通理解が十分でなかったことや、学校から児童生徒及び保護者への事前の説明が不足していたこと等から、児童生徒のプライバシーや心情への配慮に欠ける健康診断が散見されていたことを踏まえて、文科省との共同でリーフレット「学校健康診断実施上の留意点」を作成したことを紹介した(リーフレットの全文は日本医師会ホームページを参照)。
リーフレットは表裏でできており、表面には学校医、学校・教育委員会共通の内容として、学校における健康診断の目的と役割、学校健康診断における項目が示されており、特に、「『11.その他の疾病及び異常の有無』の検査として検査項目を追加する場合は、健康診断の趣旨や目的に沿って学校の設置者及び学校の責任で、その実施の目的等と、義務付けではないことを明示し、保護者等に周知した上で、理解と同意を得て実施する必要がある」ことが強調されていることを説明。一方、裏面については、学校医向けには「診察方法や児童生徒等のプライバシー・心情への配慮について事前に学校と確認すること」などの5点を、学校・教育委員会向けには「学校保健計画・健康診断実施計画の作成に当たって、学校医、検査機関等と共通理解を図りながら進めること」などの5点を、健康診断を行う際に押さえておくべきポイントとしてそれぞれ示しているとした。
渡辺常任理事は、「本リーフレットによって、令和7年度の学校健康診断の実施に向けて、学校医と学校の間の共通理解が深まり、より円滑に健康診断が行われることを強く期待する」と述べるとともに、「リーフレット配布をきっかけに出てくる学校健康診断に対するさまざまな意見を関係者で共有して、児童生徒の健康のために、学校健診をより良いものにしたい」と意気込みを語った。
また、同常任理事は、日本医師会で発行している『学校医のすすめ』も改めて紹介し、現在学校医の活動をしている医師、これから学校医になる医師に対して、リーフレットと併せた活用を呼び掛けた。
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日本医師会健康医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)