閉じる

令和6年(2024年)8月27日(火) / 「日医君」だより

学校保健の更なる充実に関する要望書を提出

 松本吉郎会長は8月21日、渡辺弘司、坂本泰三両常任理事と共に文部科学省を訪れ、学校保健の更なる充実に関する要望書の他、令和4・5年度学校保健委員会答申や、同委員会が作成した冊子である『学校医のすすめ』などを盛山正仁文科大臣に提出した。

 会談ではまず、松本会長が要望書の趣旨を説明。わが国の将来を担う子ども達の健康を増進する学校保健の重要性を踏まえ、(1)学校健康診断の在り方に関する検討、(2)健康教育の推進、(3)教師の働き方改革推進と教育の質向上―を提案・要望し、具体的に、(1)では、現在実施されている健診項目は社会的状況に見合ったものとなっているか検討するとともに、それぞれの項目について健診を行う意義を明確にすることを提案した。

 (2)では、児童生徒が将来にわたって健康を意識した行動を取れるよう、次期学習指導要領と解説を、人生100年時代における健康リテラシーの向上の観点から改めて整理するとともに、管理職を含む関係教員の研修機会の充実や、学校医等の外部講師の活用に係る予算の確保の検討を求めた。

 (3)では、教師の働き方改革は、具体的施策の実施状況、時間外在校等時間、教師の健康状態を見つつ、継続的かつ確実に推進する必要があるとした上で、その改革は、子どもの将来のため、教育の質向上に資するものとなるよう求めた。

 また、そのためには、学校現場の教職員の処遇や定数の大幅な改善を始め、教員養成系大学の教職員や、国や地方自治体において教育行政に携わる公務員など教育に関わる人員の抜本的拡充、インフラ整備など、大きく踏み込んだ施策実行のための予算の確保が不可欠とした。

 松本会長の説明後、中央教育審議会の委員でもある渡辺常任理事が補足的な説明を行い、昨今大きな課題となっている健診時の脱衣の問題に関して、さまざまな考え方はあるものの、国として基本的な考え方を明確にし、認識の共有を図っていく必要があるとした。

 更に、教員の働き方改革では、教員が元気でなければ子どもに良い教育を行うのは難しいとの見方を示した上で、今後、教員の休職率の改善など目に見える成果が求められるとした。

 また、坂本常任理事は、安衛法で選任義務のない小規模の学校を始め、学校では産業医を置くことが難しい現状を紹介し、予算的な補助等が必要とした。

 これらの説明を受けた盛山文科大臣は、要望に一定の理解を示した上で、健診項目や時期等については、時代に合わせた見直しが必要として、厚労省等関係省庁と連携しながら対応していくとともに、実施する側の負担軽減も図っていく必要性も指摘した。

 また、教員の働き方改革に関しては、現在働いている教員の心身の健康とともに、これから教員を志望する人についても、労働環境を理由に採用試験を受けないことがないように、対応を進めていく考えを示した。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる