令和6年(2024年)6月19日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース
医療IT委員会答申「医療DXを適切に推進するための医師会の役割」について
長島公之常任理事、佐原博之常任理事
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長島公之常任理事は、6月19日の定例記者会見で、医療IT委員会が会長諮問「医療DXを適切に推進するための医師会の役割」を受けて取りまとめた答申を、期中に石川県医師会理事から日本医師会常任理事となった佐原博之委員長から6月5日に松本吉郎会長に提出したことを報告した。
長島常任理事は、答申は、15名の委員が2年間、9回にわたる検討の末、取りまとめられたものであると説明。日本医師会として本委員会の提言を受け止め、今後、医療DXが医療費適正化を目的とするような不適切な方向に進むことなく、適切に推進されるよう、しっかりと取り組んでいくと強調した。
引き続き、本委員会委員長である佐原常任理事が答申内容を次のように概説した。
答申は「総論」と「各論」の二部構成となっており、総論では医療DXの概要、課題と医師会の役割についてまとめられ、各論では各テーマごとに解説されている。
「総論」は、(1)はじめに―医療DXのゴール―、(2) 誰一人、日本の医療制度から取り残さない― 医療DXを適切に進めるための大前提―、(3) 国が推進する医療DX、(4) 日本医師会が進めてきた医療DX、(5) 地域で進められている医療DX―地域医療連携NWと全国医療情報PF―、(6)インフラの維持とセキュリティ対策のコスト、(7) 日本の医療の課題を解決するための医療DX、(8) 総論のまとめ―からなっている。
(1)では、日本が世界に誇る医療制度を未来の世代につなげることが私たちの世代の責務であり、医療DXはそのための手段の一つであることを基本認識として共有することが求められるとした上で、医療DXを適切に推進するためには、何を目的にするのかを明確にする必要があると指摘。「医療DXのゴール」は、デジタル技術を駆使することによって、国民皆保険と地域医療を守るとともに、より安全で質の高い医療を実現し、医療従事者の負担を軽減して、余裕を持って患者に寄り添うことができるよう医療現場を変革することにあるとしている。
(2)では、医療DXを適切に進めるためには、「誰一人、日本の医療制度から取り残さない」ことが大前提であり、医療現場に混乱・支障が生じないように、国が医療機関と国民一人一人に対して丁寧に説明して慎重に進めることを提言。そのことが結果的に最速で医療DXを推進することにつながるとしている。
(5)では、「全国医療情報プラットフォーム」は国内の医療機関同士で必要最低限の情報を共有することができるのに対して、「地域医療連携ネットワーク」は地域限定であるが情報提供病院の多種多様な情報を情報閲覧医療機関で共有することができるとし、現時点での最適な使い方は二つのネットワークを併用することであるとしている。
(6)では、医療DXのインフラであるオンライン資格確認等システムの導入と維持のコストについて触れ、補助金や診療報酬上の加算などで国が責任をもって負担すべきだとの考えを示している。
(7)では、1.国民皆保険を守るために2.かかりつけ医機能を発揮するために3.地域包括ケアシステムの充実のために4.医師の地域と診療科の偏在を解決するために5.パンデミックや災害時の備えのために―という五つの視点から日本医師会の考えを基に説明。その他、各論では、「医療DX」「地域医療連携NWと全国医療情報PF」「サイバーセキュリティ」「医師会業務DX」など、16項目について解説されているとした。
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