ポストコロナの医療体制充実についての意見交換会が11月6日、厚生労働省で開催され、松本吉郎会長、釜萢敏常任理事が出席。今後の新興感染症医療体制などについて日本医師会の考えを述べた。
本意見交換会は、ポストコロナの医療体制充実に向けた取り組みとして、医療界と厚労省が共同で進める方針として作成された『ポストコロナ医療体制充実宣言』について、武見敬三厚労大臣と医療界の関係団体が意見交換を行うことを目的に開催されたものである。
当日は、厚労省から武見厚労大臣、塩崎彰久厚労大臣政務官、大島一博事務次官らが、医療界からは、日本医師会の他、蓮池芳浩日本歯科医師会副会長、山本信夫日本薬剤師会長、高橋弘枝日本看護協会長、岡俊明日本病院会副会長、猪口雄二全日本病院協会長(日本医師会副会長)、伊藤伸一日本医療法人協会会長代行、森隆夫日本精神科病院協会副会長が参加した。
冒頭のあいさつで武見厚労大臣は、まず、日頃の地域医療への取り組みや3年間にわたる新型コロナウイルス感染症への対応に謝意を示した上で、これまでの対応を振り返り、「感染の流行初期に医療の逼迫(ひっぱく)を招いたことから、医療提供体制の中で、平時から新興感染症に備えておく必要性が明らかとなった」とするとともに、平時から感染症有事まで、切れ目なく質の高い医療を提供するという観点から、医療DXの必要性も明らかになったとした。
また、武見厚労大臣は、「次の感染症拡大への備えを医療界の皆様と共に先手先手で実行していくことが大変重要である。新興感染症対応や医療DXについて、医療界と厚労省が一体となって進めていく方針を確認したい」とした他、マイナ保険証推進への医療界の協力に感謝の言葉を述べた上で、今後、更なる支援や補助を検討する考えを示した。
医療界の取り組みと国の政策が合わさってこそ、ポストコロナの医療体制は実効性を持つ
続いて、参加団体から、同宣言に対する意見及び今後の取り組みについて発表が行われた。
松本会長は、まず、「日本医師会は、医療界を挙げて、コロナ対応を基本とした新興感染症医療体制の充実に努めていく」と述べた上で、特に診療所は、新興感染症の性状を把握した上で、発熱外来や自宅療養を担う重要な医療機関であることを説明。新興感染症への対応力を高めるための研修に取り組んでいくとした他、医療DXは、未知のリスクを有している可能性のある新興感染症への対応の面から見ても、安心・安全で質の高い医療提供と、現場の負担軽減に資するとの見方を示し、その推進に全面的に協力していく姿勢を示した。
また、有事の際には、国による財政支援や現場への情報提供、PPE、検査キットなど、適時、必要な資機材を十分に供給するよう要望。「医療界の取り組みと国の政策が合わさってこそ、ポストコロナの医療体制は実効性を持つ」と強調した。
松本会長は最後に、「新興感染症はいつ出現するか予測できない。また、2040年頃には、高齢化がピークを迎え、地方では過疎化が深刻となる。地域から発熱外来を担う診療所や入院医療を担う病院がなくなっていては対応できない」と述べ、国に対し、有事の備えとしても、平時の地域医療、地域包括ケアシステムが維持・継続できるような政策を求めた。
各団体の発表後、同宣言が取りまとめられ、意見交換会は終了となった。
お知らせ |
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「ポストコロナの医療体制充実についての意見交換会」で取りまとめられた、今後集中的に進める取り組みを示した「ポストコロナ医療体制充実宣言」の全文は、下記からご覧頂けます。 https://www.mhlw.go.jp/content/001164570.pdf |
問い合わせ先
日本医師会地域医療課、健康医療第2課、情報システム課 TEL:03-3946-2121(代)