令和4年(2022年)9月20日(火) / 日医ニュース
2020年度・2021年度健康食品安全対策委員会報告書「健康食品安全情報システム事業の運営を通じた情報発信」「コロナ禍における医療・健康情報の氾濫を踏まえた、国民のヘルスリテラシーの向上策について」
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令和2・3年度 会内委員会答申・報告書(全文は日本医師会ホームページ「メンバーズルーム」に掲載)
健康食品安全対策委員会(委員長:尾﨑治夫東京都医師会長)は、二つの会長諮問「健康食品安全情報システム事業の運営を通じた情報発信」「コロナ禍における医療・健康情報の氾濫を踏まえた、国民のヘルスリテラシーの向上策について」に対して、「1.場合によっては命に関わるような、危険な健康食品による被害を見逃さないシステムを作ること」「2.患者が健康食品を使っていることを必ず医師や薬剤師が情報共有できる仕組みを作ること」「3.国民に、自分が摂取しようとしている健康食品の有用性や有害性を正しく理解できるだけのリテラシーを身につけていただくようにすること」の3点を理念として、検討を重ね、報告書を取りまとめた。
第Ⅰ章「健康食品安全情報システム事業の運営を通じた情報発信」では、関係学会等との協力体制に重点を置き、医師の健康食品の安全性・有効性に対する関心を高めるよう、日本医師会に対応を求めている他、かかりつけ医機能の推進活動の一環として、健康食品安全情報システム事業の活性化を図るべきであるとしている。
第Ⅱ章「コロナ禍における医療・健康情報の氾濫を踏まえた、国民のヘルスリテラシーの向上策について」では、コロナ禍で健康に関心が高まる中で、国民に健康食品の摂取を含め、自分自身や家族の健康状態を医師(かかりつけ医)に相談してもらえるよう方向付けること、健康食品は医薬品とは異なるということの啓発の他、健康食品の光と影を知り、ヘルスリテラシーを高めるためのキャンペーンを実施すること等を提案している。
また、国民へのアプローチの仕方に関しては、特定のグループ(例:シニア女性、中高生、妊婦等)ごとに分けて提供し、それぞれに適した方法で啓発していくことがヘルスリテラシーの向上策にとっても効果的であると指摘。また、健康食品については、対象者(妊婦等)によって有用で積極的な摂取が必要な場合もあることから、否定的・消極的な視点ばかりに立つのではなく、健康被害のリスクを可能な限り低くした上で、適切な摂取を働き掛けていくことも重要であるとしている。
「おわりに」では、かかりつけ医が日々の診療等を通じてヘルスリテラシーの向上や地域住民の健康に寄与することは、かかりつけ医機能の一つと言えると強調。日本医師会は、健康食品安全対策の視点からも、関係団体・学会等と連携して、かかりつけ医機能の推進に努めるべきとしている。