松本吉郎会長は8月10日の定例記者会見で、第7波による過去に例を見ない規模の感染拡大は収束の兆しを見せておらず、その中でお盆期間に入り、人流の増加が予想されるとした。更なる感染拡大を防止していくために、引き続き3回目、4回目のワクチン接種の推進や一人ひとりが基本的感染防止対策を取り、注意深く行動していくことが重要との認識を示すとともに、お盆期間中の発熱外来の対応や医療機関の負担軽減への対応等について報告した。
まず、松本会長は、少しでも多くの陽性を疑われる人達が医療機関を受診できるよう、地域の医師会や医療機関に対して、週末・祝日やお盆休みでの発熱外来の拡充の更なる協力をお願いしたところ、全国の医師の先生方や医療従事者の方々に、発熱外来における診療、宿泊療養施設への医師派遣等の対応をして頂いているとして、謝意を述べた。
また、8月9日に、後藤茂之厚生労働大臣(当時)から直接、お盆期間の発熱外来の対応について再度協力要請があり、極めて厳しい感染拡大の中であるが、少しでも多くの人を発熱外来等で診察できるよう協力する旨を伝えた他、同日に開催された「都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会」の中でも、都道府県医師会の先生方にも重ねての協力をお願いするとともに、8月10日には、都道府県医師会長、郡市区医師会長宛てに対し、お盆期間中の発熱外来診療体制の確保をお願いする文書を発出したことを明らかにした。
全国多くの取り組みの中からは、大分市内の病院駐車場にドライブスルー型の臨時発熱外来を開設する取り組み事例について、山本貴弘大分市医師会長から、医師1名が1日実働7時間の中で発熱患者200人を対応したという実績の続報を受けたこと、新たに「国立病院機構大分医療センター」が、8月14、15日に1日150人対応の臨時ドライブスルー発熱外来を、「大分三愛メディカルセンター」では、14日に1日160人対応可能な臨時ドライブスルー外来を設置する予定であるとの報告があったことを紹介。各地の多くの医師会や医療機関において臨時発熱外来等を開設し、行政と連携しながら懸命に体制を築きつつあるとして、「引き続き、困難な状況に対して、力を合わせて乗り越えていく」と強調した。
その他、松本会長は「BA.5」による新規感染者数の爆発的増加により現場の負担は極めて大きく、地域によっては医療・保健の逼迫等が起きるなど、日を追って感染急拡大の影響は深刻化しているとして、入力項目の簡素化など事務負担の少ない仕組みに変更するよう、全国知事会と共に政府に要請したことを改めて説明。
この要請を受けて、8月4日には、政府から「オミクロン株の特徴に合わせた医療機関や保健所の更なる負担軽減への対応」が公表され、都道府県等において体調悪化時等に連絡が可能な健康フォローアップセンター等を開設し、連絡先を患者に伝える体制が構築されている場合には、重症化リスクの低い患者(65歳以上等の患者以外)の発生届については、患者・疑似症患者等の診断した者の類型に加えて、「氏名、性別、生年月日、報告日、市区町村名までの住所、電話番号のみとすることが可能」となったとして、医療・保健機能の逼迫に対する配慮に感謝の意を示した。
会見に同席した釜萢敏常任理事は、小児(5~11歳)に対するワクチン接種について、(1)12~19歳のワクチン接種率と比較すると接種率が非常に低く、10代や10歳未満の感染者数が増えている、(2)小児のワクチン接種の有効性は12歳以上と比較しても引けを取らず、抗原量を3分の1とするなど安全性も確認ができている―ことを踏まえて、8月8日に開かれた第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、小児のワクチン接種に関して、積極的勧奨を続けるとともに、努力義務とされたことを改めて説明。「保護者の方も十分に納得した上で、小児のワクチン接種を幅広く検討して頂きたい」と意見を述べた。
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