令和2・3年度 会内委員会答申・報告書(全文は日本医師会ホームページ「メンバーズルーム」に掲載)
母子保健検討委員会は、会長諮問「子どもを産み育てやすい社会の実現に向けて医師会はどう関わるべきか~成育基本法をもとに~」を受け、産婦人科医と小児科医それぞれの視点から、2019年12月に施行された成育基本法を踏まえ、国・都道府県・市町村のレベルごとの施策、施策に対する医師会の役割について答申を取りまとめ、4月19日に福田稠委員長(熊本県医師会長)から中川俊男会長に提出した。
本答申は、(1)序文、(2)国レベル、(3)都道府県レベル、(4)市町村レベル、(5)結語―から構成されている。
(1)と(5)では、成育基本法の理念は「次代の社会を担う成育過程にある者の個人としての尊厳が重んじられ、その心身の健やかな成育が確保される事」であり、今回の諮問はその理念の下、医師会はどのように取り組むべきかを具体的に検討したものであることが述べられている。
(2)では、産婦人科の視点からは、母子保健法からみた母子健康手帳や、健康教育からみた少子化対策としての健康教育・プレコンセプションケア(妊娠前のヘルスケア)などについて説明され、医師の働き方改革が周産期医療にどのように影響をもたらすか等について考察されている。
また、小児科の視点からは、成育基本法成立までの社会的背景や2021年2月に閣議決定された成育医療等基本方針について説明し、実現すべきこととして、子育て世代包括支援センターの機能充実や乳幼児健診の回数増加、学童以降の個別健診導入等が提案されている。
(3)では、産婦人科の視点では、①周産期医療提供体制②新生児マススクリーニング③災害・感染症等に対応する医療体制の整備―等の現状と対策について触れ、周産期医療協議会の活用や有事における都道府県医師会の役割について解説。
小児科の視点からでは、平時・有事(新興感染症、災害時)における小児医療提供体制に関して、新型コロナウイルス感染症流行下や震災時の対応を例示し、課題と都道府県医師会の役割についてまとめられている。
(4)では、産婦人科の視点からは、①妊婦健診②産後ケア事業③妊産婦メンタルヘルス対策―等について、市町村における取り組みや、子育て世代包括支援センター・行政・多職種との連携の重要性と地域医師会の関わりについて説明されている。
小児科の視点からは、①子育て世代包括支援センターの現状と課題②乳幼児健診、学童思春期の健診③子どものこころのケア④母子保健と福祉の融合⑤発達障害者・医療的ケア児への包括支援体制―について、現状の説明と今後の課題に関して、公的健診の回数増加等が提案されている。
また、答申の最後には関連資料として、本委員会が、都道府県医師会における成育基本法等に係る取り組み状況を把握するために実施したアンケートの実施要綱と結果が付記されている。