第34回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が5月18日、日本医師会館でWEB会議により開催された。
冒頭あいさつした中川俊男会長は、ゴールデンウィーク後に懸念されていた新型コロナの感染急拡大は抑えられているものの新規の感染者数は依然として高い水準にあることに変わりはないと述べるとともに、「社会経済活動の再活性化やさまざまな制限緩和の動きがあるが、感染者数の増加を抑制し、コロナ医療とコロナ以外の通常医療が両立する安心な医療提供体制を確保することが必要である」と強調。
また、4回目のワクチン接種が予防接種法上の特例臨時接種として実施することとなったことに触れ、「医療従事者等」を接種対象者に明記するよう各医師会から多数の要望が寄せられているが、本協議会において厚生労働省に政府の方針を説明してもらった上でその対応を考えていきたいとした。
当日の議事は、(1)新型コロナウイルスワクチンの追加接種(4回目)、(2)高齢者施設等における医療支援の更なる強化―についてであった。
(1)では、まず大坪寛子厚労省大臣官房審議官が、3回目のワクチン接種率の現状について報告した上で、ワクチン接種への協力に謝意を示した。4回の接種については、3月から議論を重ね、4回目接種を先行実施している諸外国のデータを基に、厚生科学審議会等での議論を踏まえて、不確実な情報が多い中ではあったが政府判断で方針を決定した経緯を説明し、理解を求めた。
次に、鶴田真也厚労省健康局予防接種室長が、5月下旬から開始される新型コロナワクチンの4回目接種について、これまでの発症予防と重症化 予防を目的とする接種とは異なり、重症化予防のみを目的に位置付けられていることや、接種対象者、使用ワクチン、接種間隔等の概要を説明。その他、接種対象となる重症化リスクの高い基礎疾患を有する者の範囲や4回目接種の方針を決定するに当たりエビデンスとして用いたイスラエルの研究データを示すとともに、諸外国の4回目接種の対応状況やワクチンの配送計画等を紹介した。
その後、釜萢敏常任理事が、4回目のワクチン接種について議論する上で、1.3回目と4回目の有効性の評価の違いを踏まえた安全性・有効性、 2.感染リスクのある医療介護従事者で希望する方への接種、3.ワクチンの供給量や3回目接種用ワクチンの在庫や期限切れによるワクチン廃棄の懸念―について、三つの論点があることを補足説明した。
(2)では、江澤和彦常任理事が、高齢者施設等における医療支援の更なる強化について、4月28日付厚労省事務連絡「オミクロン株の特性を踏ま えた保健・医療提供体制の対策徹底を踏まえた取り組み状況及び更なる体制強化について」を基に、今後の取り組みとして、高齢者施設等において協力医療機関が治療薬投与の対応医療機関であるかを確認することが新たに追加されたこと等を説明した。また、高齢者施設で療養する新型コロナ感染症患者の医療費の自己負担分が補助対象となることや、老健等における新型コロナ感染症患者の医療に要する費用における診療報酬の特例的な対応を一覧としてまとめた資料を紹介し、その活用を求めた。
意見交換では、4回目の接種に関して、感染リスクを負いながら業務に従事する医療・介護従事者が希望してもワクチン接種を受けられないことに疑義を訴える意見があり、本会としても引き続き厚労省に対して、要請を行うこととした。また、重症化リスクが高いと医師が認める者への対応 に関する質問、エビデンスデータが不十分であることが指摘された他、高齢者施設等における協力医療機関のあり方や都道府県の役割を明確にすべきとの要望など、多数の都道府県医師会から意見が出された。
次回の開催は未定となっている。
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