第32回 都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が3月2日、日本医師会館でWEB会議により開催された。
冒頭あいさつした中川俊男会長は、新型コロナの新規感染者数は減少傾向であるが、大都市部において確保病床、重症病床ともに使用率が高い水準を維持しており、更に感染力が高い「BA.2」の感染拡大により、新規感染者数が増加する恐れがあるとして、国民の生命と健康を守る点において、現状では今すぐにさまざまな制限を大幅に緩和できる状況にはないとの見方を示した。
また、5~11歳の小児へのワクチン接種が開始されたことを受けて、「子どもを新型コロナから守るとともに、学ぶ機会や遊ぶ機会を確保する観点から、小児への接種を推奨する。特に基礎疾患のある小児や医療的ケア児に関しては接種を優先すべきである」と強調。その一方で、5~11歳までのワクチン接種による感染予防効果が、12~17歳に比べて早く落ちるという調査結果を示したアメリカ・ニューヨーク州の査読前の論文が公表されたことに言及し、その原因がワクチンに含まれる有効成分を3分の1にしていることにあることが確認されれば、投与量の変更や追加接種をするなど早急な見直しが必要であることを指摘した。
更に、岸田文雄内閣総理大臣、後藤茂之厚生労働大臣それぞれから発熱外来診療体制の充実に向けた協力要請を受けて、診療・検査医療機関の公表など発熱外来診療体制の拡充を地域医師会等へお願いしていることに触れ、2月25日時点でおよそ27,000診療・検査医療機関が自治体ホームページで公表されていると報告。「各医師会のご尽力の賜物である」との感謝の意を表し、引き続き、機関の公表に向けた協力をお願いしたいとした。
当日の議事は、(1)新型コロナウイルスワクチン接種、(2)転院・入院・救急搬送にかかるコロナ患者・コロナ疑い患者の受入拡大を図るための緊急支援、(3)COVID‐19JMAT保険の継続契約、(4)【都道府県医師会】新型コロナウイルス感染症対応人材養成研修―についてであった。
(1)では、釜萢敏常任理事が、新型コロナワクチン接種の関連通知を紹介した上で、ワクチン接種券が届いていない方へも接種可能とする運用の扱いや12~17歳への追加接種に対する質問の他、小児のワクチン接種に関しては、成人よりも手間が掛かることへの負担に対する接種費用の加算を求める要望やかかりつけ医が接種することの意義を指摘する意見などに回答した。
(2)では、松本吉郎常任理事が、令和4年3月10日を交付申請提出期限とする「令和3年度新型コロナウイルス感染症患者等入院受入医療機関緊急支援事業補助金」について概説し、その活用を求めた。
(3)では、今村聡副会長が、令和2年2月に創設された「COVID‐19JMAT保険」が今年4月に満期を迎えるが、令和4年4月から掛金を再引き下げとなることなどを説明。また、行政からの委託や要請を受けた医師会による自宅療養やクラスター施設などへの派遣にも保険適用がされるかの問いに対して、「JMAT活動の一部として活用できる」として、JMATへの登録を行うことを呼び掛けた。
(4)では、猪口雄二副会長が、新型コロナウイルス感染症対応人材ネットワークの運営等について概説。また、都道府県医師会を対象に、令和4年1月27日から2月10日を調査期間とする「新型コロナウイルス感染症対応人材養成研修実態調査」の結果(速報)を報告した他、コロナ対応に資する研修の認定基準等を説明するとともに、都道府県別研修会取組状況や一般公開されているオンデマンド研修、研修教材等を紹介した。
その他、神奈川県医師会からはPCR検査・抗原検査に対する保険収載の見直しや診療・検査医療機関に対する経済的・物資的な支援に関する要望があった他、罹患後症状など長期にわたる症状へ対応できる体制整備や検査試薬の不足の問題、PCR検査・抗原検査キットの供給状況の把握などについて意見交換が行われた。
総括を行った中川会長は、岸田総理大臣がまん延防止等重点措置区域において診療報酬上の特例加算を行う新たな医療提供体制整備への支援策を表明したことについて、平井伸治全国知事会長/鳥取県知事が後藤厚労大臣にまん延防止等重点措置区域に限らない制度を要請したこと等を紹介。日本医師会としても国に対して、まん延防止等重点措置区域に限定しない制度の見直しを要請していることを明らかにするとともに、「新型コロナとの闘いが続く中でさまざまな問題あることに対しては、引き続きの財政的支援を国に求めていく」との強い意向を示し、理解を求めた。
次回は4月22日に開催される予定となっている。
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日本医師会健康医療第2課、地域医療課、医業経営支援課 TEL:03-3946-2121(代)