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令和4年(2022年)2月2日(水) / 「日医君」だより

第31回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第31回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が1月28日、日本医師会館でWEB会議により開催された。

 冒頭あいさつした中川俊男会長は、まず、1月25日に「まん延防止等重点措置」の対象地域が追加されたことや、海外で感染が拡大している「BA.2」系統のオミクロン株の感染状況等の他、1月20日に3回目の全国知事会との意見交換会を開催したこと等を報告。

 また、1月21日に行われた会内委員会「地域医療対策委員会」での議論に触れ、主に、「都市部中心の感染拡大から、現在は各県下の地方部にも感染が広がり、医療提供体制がぜい弱な地方では病床のひっ迫度合いが更に進んでいる」「現在は、非コロナ疑いの救急搬送困難事案で、コロナ以外の救急医療が圧迫されつつある」といった意見が出されたことを紹介した。

 その上で中川会長は、「日本医師会では、コロナ医療とコロナ以外の通常医療の両立が重要であると主張してきたが、第6波の感染爆発ともいえる状況で、医療の提供を制限せざるを得ない地域が出て来ている」として危機感を示すとともに、1月26日に開催された「日本医師会・四病院団体協議会懇談会」では、厚生労働省に全国の窮状を伝えるだけでなく、「検査キットの緊急増産」「医療機関に対する優先的な分配など、コロナ医療を行う医療機関への迅速な各種支援対策」を政府に強く要請したことを説明し、理解を求めた。

 当日の議事は、(1)新型コロナウイルス感染症に係るPCRの検査試薬保険点数の見直し前価格実態調査、(2)新型コロナウイルス感染症の直近の状況等、(3)新型コロナウイルス感染症対応人材ネットワーク事業、(4)日本経済団体連合会との連携による宿泊療養施設および臨時の医療施設等の設置に向けた取組支援―についてであった。

 (1)では、松本吉郎常任理事が、「新型コロナウイルス感染症に係るPCRの検査試薬について、保険点数見直し前の価格実態を把握すること」を目的に、7都府県医師会の協力の下行われた同調査について、調査に至った経緯等を説明した後、中田勝己厚生労働省保険局医療課医療技術評価推進室長が、主要な製品のシェアや価格の範囲など、1月20日時点の途中経過を報告した。

 意見交換では、保険点数の見直しについて、見直し後は赤字になる場合も考えられることや、患者のためにも時間の掛かる外注よりもできるだけ医療機関で検査を行いたいとの考えが示された他、現在示されている点数を決定する際に行われた価格調査の正確性に疑義が出された。

 (2)では、釜萢敏常任理事が、全国感染者数の状況や急拡大時の外来診療の対応の通知について説明。同通知の内容がこれまでの方向性と大きく違うことから日本医師会内でも議論があったとした上で、抗原定性検査キットが手に入りにくくなっている中では、通知内で示されている自分での検査が現実的ではなくなっていることやメーカーのキット増産体制はすぐには整わない見通しであることなどを報告した。

 意見交換では、PCRの検査資材についても不足していることを強く訴える意見や無料PCR検査によって医療機関の検査や診療に支障が生じていることが指摘された他、同通知の記載や考え方の詳細を確認する質問が多数の都道府県医師会から出された。

 (3)では、猪口雄二副会長が、厚労省からの補助金及び日本医師会への寄付金によって運用される同ネットワークについて、その概要及び運営委員会での検討状況等を紹介した。

 (4)では、釜萢常任理事が、日本経済団体連合会との連携の下で構築された同取り組みについて、紹介に至った成果報告や臨時の医療施設等が必要になった場合の流れについて説明した。

 総括を行った中川会長は、現在官邸では濃厚接触者に関する対応が協議されているとした上で(同日、厚労省が濃厚接触者の待機期間の短縮を発表)、検査キットについて、医療機関に優先して配布すること及び買い占めの懸念を政府に伝えたことを改めて説明。後藤茂之厚生労働大臣も医療機関を優先することを明言しているとした。

 また、議論された1月24日の事務連絡は、検査や医療提供体制がひっ迫してしまった際の緊急避難的な選択肢を示したものであり、事務連絡は「技術的助言」であるので、各県が最終的に判断するものと説明した。

 次回は、3月5日に開催される予定となっている。

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