第12回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が5月15日、テレビ会議システムを利用して、日医会館で開催された。
冒頭あいさつした横倉義武会長は、昨日、39県の緊急事態宣言が解除されたことに触れ、「解除された県も気を緩めることなく、先を見据えた対応をして頂きたい」と強調。新規の感染者数は減少傾向にあるものの、一部地域の医療提供体制はまだ逼迫しているとして、感染の第2波への備えを要請するとともに、4月以降、外来・入院とも患者数が大幅に減少していることを踏まえ、新型コロナウイルス感染症以外の通常の診療体制も守るため、引き続き政府に働き掛けていく姿勢を示した。
議事では、まず釜萢敏常任理事が、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の区域変更について、「北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県を除く39県が緊急事態措置を実施すべき区域から外れた」と説明。基本的対処方針では、同措置の解除や再指定について、直近の報告数や倍加時間、感染経路の不明な症例の割合等を踏まえて総合的に判断するとされ、数値はあえて明記していないとし、5月14日に行われた新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で取りまとめた「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」では、再指定について、「直近1週間の状況を見て総合的に判断するとの考え方が示されている」と述べた。
更に、同常任理事は、5月13日に改訂された「地域外来・検査センター運営マニュアル(第2版)」についても触れ、主に検体採取を行う「地域外来・検査センター」を設置する場合の準備事項、費用の取扱い、業務の流れなどに関する事項が追加された他、ドライブスルーやウォークインなど、保険医療機関としての届け出がない場所でも「地域外来・検査センター」としての設置・運営が可能となったとした。
兵庫、神奈川、岡山の各県医師会からは、それぞれの取り組みについて報告がなされ、神奈川県医師会からの「地域外来・検査センター」から紹介元の医療機関に結果を報告する際、診療情報提供料が算定できるかとの問いには、松本吉郎常任理事が不可である旨回答した。
長島公之常任理事は、抗原検出用キットが5月13日に薬事承認され、同日保険適用されたことを紹介。緊急性の高い新型コロナウイルス感染症陽性者を早急に検知するため、患者発生数の多い都道府県における帰国者・接触者外来(地域・外来検査センターを含む)及び全国の特定機能病院から供給が開始され、生産量の拡大に伴い供給対象が拡大されていくとするとともに、「このキットで陽性となった場合には確定診断できるが、ウイルス量が少ないと検出できない可能性があるため、無症状者に対するスクリーニング検査には適さず、対象となる患者及び用途は医師が必要性を認めた場合とされている」と説明した。
兵庫県医師会からは、救急現場での抗原検査の活用に期待が寄せられる一方、陰性の場合はPCR検査の併用が必要であることから、「地域・外来検査センター」の負担がかえって重くなるとの懸念が示され、釜萢常任理事は運用する中でデータを整理し、PCR検査との併用の要否についても検討していくとした。
また、松本常任理事は抗原検査の保険適用に当たっては、(1)「マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)」の4回分600点を準用する、(2)COVID-19の診断又は診断の補助を目的として、薬事承認もしくは認証を得ている方法で検査を実施する、(3)診断の確定までの間に1回に限り算定する―などの概要を解説。
長島常任理事は、労災保険における診療報酬の取り扱いについて、「電話や情報通信機器を用いて診断や処方をする場合には、労災診療費算定基準の対面による診療と同じ初診料3,820円、再診料1,400円が算定できる他、再診時療養指導管理料(920円)についても、電話等再診(1,400円)と合わせて算定できる」と補足した。
この他、松本常任理事が産業界と連携した医療物資増産等のサポート体制として、各地域の経済産業局に担当窓口が設置されたことを報告し、城守常任理事は、日医ホームページになりすました偽サイトが確認されたことから、注意喚起を行った。
最後に横倉会長が、PCR検査センターの運用における課題について適宜改善を図っていくとして、引き続きの協力を求め、協議会は終了となった。
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