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平成30年(2018年)3月9日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

平成28・29年度医師会共同利用施設検討委員会答申「2025年を見据えた医師会共同利用施設の展開~健康寿命の延伸に向けた新たな取組と地域における役割~」について

 松本吉郎常任理事は、3月7日の定例記者会見で、医師会共同利用施設検討委員会が会長諮問「2025年を見据えた医師会共同利用施設の展開―健康寿命の延伸に向けた新たな取組と地域における役割―」を受け、2年間にわたり検討を重ねた上で報告書を取りまとめ、2月20日に、池田秀夫同委員会委員長(佐賀県医師会長)より横倉会長宛てに答申したことを報告し、その概要を説明した。

 報告書の内容は、「はじめに」「1.健康寿命の延伸に向けた国の動き」「2.医師会臨床検査センター・健診センター」「3.医師会病院」「4.在宅医療・介護支援関連施設」「5.これからの医師会共同利用施設を考える」「6.第27回全国医師会共同利用施設総会(分科会報告より)」「おわりに」からなっており、団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けて健康寿命が延伸する社会の構築に、医師会共同利用施設が果たす役割を示している。

 「1.健康寿命の延伸に向けた国の動き」では、「国民健康づくり運動」や「健康日本21(第二次)」、「健康寿命」の定義について触れている他、康永秀生東京大学教授(臨床疫学・経済学分野)の論文や東京都健康長寿医療センターの研究チームのデータを紹介し、「健康寿命の延伸策」は医療費の削減を目的とするものではなく、国民への投資と考えるべきとしている。

 「2.医師会臨床検査センター・健診センター」では、医師会共同利用施設は、臨床検査の高度化、精度向上等を通した「かかりつけ医」の診療機能の支援、各種健診を通した住民の疾病予防、重症化予防、健康増進等に寄与する役割があるとともに、蓄積している検査・健診データの積極的な利活用や、効率的なデータの共有が重要であるとしている。その具体的な例として、別府市医師会健診センターや函館市医師会健診検査センター、三重県松阪地区医師会の取り組み、小田原医師会及び大宮医師会のストレスチェック事業、佐賀県における診療情報地域連携システム、愛知県下の共同利用施設におけるアンケート調査結果等を紹介している他、日医総研による「健診標準フォーマット」のデータの一元的管理の早い実現と、医師会共同利用施設の参加及び日医によるPR等を求めている。

 「3.医師会病院」では、函館市医師会病院における健常高齢者の健康調査や、4医師会で運営する、さいたま市民医療センターの地域における取り組みを紹介し、地域包括ケアシステムにおいて、介護予防や在宅医療の推進等の領域で、病院としての役割を果たしていく必要があるとしている。また、従前より医師会病院に関わる問題の一つとして、地域医療支援病院の承認要件を挙げ、医師会病院に一律に求めることには無理があり、地域特性を鑑みた上で、医師会病院への特例措置を設けるよう要望している。

 「4.在宅医療・介護支援関連施設」では、健康寿命の延伸のためには、高齢になっても社会生活を営むための機能を可能な限り維持することが重要であるとし、京都府医師会在宅医療・地域包括ケアサポートセンターや京都府医療トレーニングセンターにおける取り組み、松阪地区医師会立地域包括支援センターの「地域けあネット」の活動、更に、さいたま市4医師会における「もの忘れ検診」事業、フレイル予防健診の提案、八王子市医師会の病院救急車の利活用等を紹介している。

 「5.これからの医師会共同利用施設を考える」では、多くの医師会共同利用施設で運営、経営状況の厳しさが増す中、設立理念を堅持し、その永続性を確保するためには組織の再構築について一考を要する時期にきているのではないかとし、佐賀県医師会成人病予防センターの再出発例を紹介している他、医師会共同利用施設の新たな展開として、在宅医療・介護連携拠点等も一部であると考えれば、より理解が深まるのかも知れないと提言している。

 「6.第27回全国医師会共同利用施設総会(分科会報告より)」では、昨年9月に大分県医師会の担当で開催した総会における分科会報告より、各地域の取り組みを紹介している。

 「おわりに」では、介護保険制度創設により医師会事業が広がる中、医師会共同利用施設にどこまで含まれるかは改めて検討を要するものと思われ、次期委員会の検討事項とすることも一考であるとするとともに、2025年の地域包括ケアシステム構築に向けて、医師会共同利用施設にも更なる改革が必要であると結んでいる。

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