日医定例記者会見 平成29年9月20日
今村定臣常任理事は、日医が昨年度より着手している「女性医師の勤務環境の現況に関する調査」の結果を公表した。
本調査は、女性医師支援を更に具体的かつ実効性のあるものにするため、全国の病院勤務女性医師の現況を詳細に把握することを目的に行われたものである。平成20年度にも同様の調査を実施しており、8年ぶりの調査となった。概要は以下のとおり。
【調査の概要】
病院に勤務する女性医師を対象として、2017年2月~3月、全病院を通じて調査票を配布。有効回答者数は1万373人(病院勤務女性医師の25%)であった。
【分析の概要】
回答者の「属性」について分析した後、「働き方」と、小学生までの子どもがいる人を"子育て中"として、「子育ての両立」との観点からそれぞれ分析。併せて、項目は限られるものの、「介護との両立」「女性医師の悩み」についても分析した。
【働き方に関する主な結果】
○1週間の実勤務時間が40時間以内の人は、時短・非常勤を含めても約3分の1に留まり、おおむね1カ月の月超過勤務80~100時間が12%、100時間以上は13%を占めた(図1)。
○宿日直またはオンコールには6割以上が対応していた。29歳以下は9割以上が宿日直またはオンコールありとなっており、30歳代以降では割合は下がるものの、50歳代でも5割を超えている。なお、診療科によって割合に差異が見られた。
【子育てとの両立に関する結果】
○子育て中の人は38%を占め、その8割以上が常勤または時短勤務であった。子育て中に夫と同居していない人は13%、育児に夫が「まったく協力しない」割合は、現在子育て中では5%に対し、子育て経験者では12%であった(図2)。
○子どもが発熱した場合等の緊急時、現在乳幼児の子育て中の常勤者は半数近くが休暇を取得して対応したが、子育て経験者では32%となっており、預けて対応した場合の預け先は「親・親族」が最多で、「夫」の2~3倍であった。
○病院からの緊急呼び出しには、現在乳幼児子育て中の常勤者では半数以上が対応しており、その際の預け先は「夫」が最も多かった。
○「仕事を続ける上で必要と思う制度や支援策」としては、回答者の96%が"勤務環境の改善"を挙げ、次いで"子育て支援"88%、"復職支援"38%であった。
○「悩み」について複数回答で聞いたところ、"家庭・育児に関する悩み"を71%が、"医師としての悩み"を64%が、"職場における女性医師としての悩み"を36%が挙げた。
調査結果の概要を説明した上家和子日医総研主席研究員は、「男女共同参画は病院内では進んできているものの、社会あるいは家庭内においては依然として進んでいない現状がうかがえる」と総括した。
なお、本調査の報告書並びに概要等は、日本医師会女性医師支援センターのホームページに掲載されている。
関連資料
問い合わせ先
女性医師支援センター TEL:03-3942-6512(直)