日医定例記者会見 8月23日
釜萢敏常任理事は、本年5月に日医が実施した「平成29年医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」の結果を公表した。
本調査は、医師会立の助産師・看護師・准看護師学校養成所における入学・卒業状況の実態と経年変化の把握を目的として毎年実施しているもので、今年度は346校から回答を得た。
調査結果の概要は、以下のとおり。
【学校数】
今年度募集を行った学校数は、准看護師課程182校、看護師2年課程72校、看護師3年課程70校、助産師課程6校。准看護師課程及び看護師2年課程は減少が止まらない状況となっている。
【入学状況】
○准看護師課程の応募者は平成23年の約2万9000人をピークに減少傾向にあり、今年度はピーク時の半分以下の約1万4000人となっている。入学者も定員を大きく下回り、約7700人であった。平均倍率は1・7倍。
○看護師3年課程は、応募者が平成26年度から減少傾向にあったが、今年度は同過程が2校増えたこともあり、昨年度より約300人増加した。平均倍率は2・9倍。
【最終学歴】
○准看護師課程入学者の最終学歴は、約5割が高校既卒、約3割が高校新卒で、大卒・短大卒は前年度並みの合計15・7%。
○看護師3年課程は、准看護師課程とは反対に、高校新卒の割合が約7割で、増加傾向にある一方、短大卒・大卒は減少傾向にあり、今年度は合計9・8%。
【卒業後の進路】
○准看護師課程の場合、医師会管内(設立母体の医師会の管内の医療機関に就業した者)が27・5%、医師会管外(それ以外の県内の医療機関に就業した者)は15・1%であった。准看護師課程はその性格上進学が多く、今年度の進学率は47・2%。ただし、進学者の半数以上(全体の25・3%)は医療機関に就業しながらの進学であり、全体で7割以上が就業している。
○看護師2年課程と3年課程は、医師会管内が5割強、医師会管外が約3割で、合計8割以上が県内で就業している。
同常任理事は、冒頭、医師会が長年看護職の養成に取り組んできた経緯を紹介した上で、2025年に向けた准看護師養成の重要性等を訴えた。
また、今回の調査結果において、平成29年3月をもって准看護師課程の2校が閉校、5校が募集を停止し、入学者も8000人を割ったこと等が明らかになったことに言及。「准看護師・看護師を問わず、今後の地域包括ケアシステムを支える看護職の確保をどうすべきか、医療界全体として考えなければならない」とするとともに、医師会立の養成所は県内就業率も高く、地域の看護職員確保に多大な役割を果たしているとして、その必要性を改めて強調した。
また、今後の課題として、①実習施設の確保②専任教員の確保③財政面での問題―を挙げ、「これらにしっかりと取り組む中で、地域に貢献する看護職を養成していかなければならない」と述べ、状況改善に向けて意欲を示した。
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