横倉義武会長は3月29日、厚生労働省に塩崎恭久厚生労働大臣を訪ね、地域医療介護総合確保基金に関する要望書を手渡した。
平成26年度に創設された本基金は、これまで3年間にわたって実施され、その間、全国各地で、都道府県行政と医師会とが一体となって、質の高い医療提供体制や、地域包括ケアシステムの構築を目指した事業計画づくりが重ねられてきた。
その一方で、①事業区分Ⅰの、いわゆる病床の機能分化に重点配分することが国の方針となっているため、在宅医療や医療関係者の養成・確保に十分資金が回らない②「診療報酬や他の財源で手当てされているものは基金の対象外」というルールを、しゃくし定規に運用しているケースも見られる―などの問題もあり、地域からは、「使い勝手が悪いので、見直すべき」との指摘が出ていた。
今回の要望はそれらの指摘を踏まえて行われたものであり、(1)国庫補助事業からの移行分の財源を十分に確保すること、及び、例えば看護職員やリハビリテーション専門職種の養成施設については、地域に根差した人材を養成できるよう、地元定着率の高さ(見込み)などを評価し、支援すること、(2)ワークライフバランスを重視し、特に子育てをしながら医療や介護の現場に従事している方々の働き方を支援すること、(3)地域包括ケアシステムにおいて、ICTの活用が継続性をもってなされるようにすること、(4)地域医師会等による医療・介護連携(有床診療所の活用を含む)の充実方策を評価すること、(5)医療分につき、事業区分間の融通を認めること、都道府県に対する交付金の他事業区分への活用等、(6)地域医療介護総合確保基金(医療分)を大幅増額し(補正予算による対応を含む)、事業区分Ⅱ・Ⅲの充実も図ること、(7)都道府県が、地域の実情を的確に反映し、また事業計画を適切に立案できるよう、厚労省より積極的に指導、支援を行うこと―など、7項目の実現を求めるものとなっている。
要望書を受け取った塩崎厚労大臣は、「地元の愛媛県からも基金の見直しを求める要望は受けている」として、その見直しに一定の理解を示した。