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平成28年(2016年)7月28日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

医療分野等ID導入に関する検討委員会報告書「医療等分野のIDのあり方に関する報告書」について

 石川広己常任理事は、7月27日の定例記者会見で、医療分野等ID導入に関する検討委員会が報告書を取りまとめ、6月20日、山本隆一委員長(医療情報システム開発センター理事長/自治医科大学客員教授)から横倉会長に提出したことを報告し、その概要を説明した。

 同委員会は会長諮問のないプロジェクト委員会であり、いわゆる医療等IDの導入・運用に関する検討を行うために設置され、会長より「厚生労働省の『医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会』の中間まとめ(平成26年12月)の内容を引き継ぐ形で、医療や介護等の分野におけるIDの導入に関する具体的な提言を取りまとめて欲しい」との要望を受けて、内閣官房、総務省、厚労省、経済産業省の担当者にも発言権のあるオブザーバーとして参加頂き、密な情報共有を行ってきた。その結果、平成27年6月の「『日本再興戦略』改訂2015」に「医療等分野における番号制度の導入」という項目が盛り込まれ、医療等分野においては、マイナンバーではなく、医療等分野専用の番号制度を導入する旨が国家戦略となったことが確認された。

 同委員会では、同年7月、医療分野におけるマイナンバーの取扱いや、医療等IDの考え方、発番方法、記載・格納媒体等の基本的な考え方について、「中間取りまとめ」として整理を行った上で提出、同月15日に定例記者会見で公表した(日医白クマ通信 No.1901)が、その後もより具体的な検討を行い、その検討結果を取りまとめたのが今回の報告書である。

 内容は、(1)はじめに、(2)医療等IDの全体的な考え方、(3)医療等IDの発番・運用方法、(4)医療等IDの具体的な利用シーン、(5)医療等IDの環境整備、(6)おわりに―から構成されており、巻末には付録として「医療分野等ID導入に関する検討委員会 中間とりまとめ」が添付されている。

 (2)では、1) 一人に対して目的別に複数の医療等IDを付与できる仕組み、2) 本人が情報にアクセス可能な仕組み、3) 情報の突合が可能な仕組み、4) 医療等IDに関しての法整備が必要―といった<基本的な考え方>や、1) マイナンバー制度で構築するシステムを最大限利活用、2) 発番機関は既存の枠組みを最大限活用―といった<発番方法>など、医療等IDの全体的な考え方を示している。

 (3)では、目的別に複数のIDを付与し、使っていくことを提案。医療等IDは、それらのIDの総称であり、その中でも、全ての医療等IDの元となるIDを「Key-ID」と名付けている。このKey-IDは、マイナンバー制度のインフラを活用して、「機関別符号」と1対1で対応させるIDであり、医療等IDを発番・管理するプラットフォームの中だけで扱われ、原則変更も閲覧もできないものとして考えられている。このKey-IDから、医療保険の資格を確認する資格確認用番号や、例えば、地域医療連携用などの目的別のIDをつくる仕組みを想定している。

 (4)では、医療等IDの具体的な利用シーンについて、「医療保険の資格確認(現行の記号番号や被保険者番号の代わりに資格確認用番号を記載する被保険者証のイメージ)」「同一地域内での連携システムの中で患者が医療機関を複数受診した際に医療連携を行う場合と、全く違う地域の医療機関を受診し異なった地域医療連携システム間で連携する場合の利用イメージ」や日医が提唱している"生涯保健事業の一本化"において活用するイメージ等が示されている。

 (5)では、今後、検討して環境整備を行っていく必要がある課題として、1) 医療等IDの保護のあり方、2) 医療等IDを流通させる安全なネットワーク―の2点を挙げている。
 同常任理事は、特に2) については、今期、十分に検討を行っていかなければならない課題であるとの認識を示し、総務省・内閣官房「8K技術の応用による医療のインテリジェント化に関する検討会」での審議内容にも触れた上で、8K技術を医療に応用し更に活かすためにも、安全に情報を送る医療介護専用のクローズドネットワークが今後絶対に必要になってくると指摘。「医療等IDの実運用と併せて、平成30年夏頃を目途に整備していきたい」と述べた。

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