医師不足の一因に女性医師の増加とその途中離職が少なからず関連しており、女性医師の就業継続をサポートすることは医療界の懸案でもあり、社会的要請にもなっている。
そこで、群馬県医師会では、平成24年5月に群馬県医師会保育サポーターバンク(以下「バンク」)を設置した。
目的は、育児支援を必要とする県内女性医師に対して、子育て医師保育支援相談員(以下「相談員」)が、そのニーズに沿った保育サポーター(以下「サポーター」)の情報提供・紹介を行うことにより、出産・育児を理由とした離職防止を図ることにある。
バンクの運営は保育サポーターバンク運営委員会(以下「委員会」)が当たると同時に必要な協議を行っている。財源としては、地域医療再生基金と地域医療介護総合確保基金を活用している。
バンクの方針としては、子育て医師は継続的かつ長期的な支援を必要とすることが多いと思われるので、可能な限り同一のサポーターが支援を行うことを原則としている。
サポーターが行う支援の内容は、基本的には、サポーターが保育と併せてできる範囲であれば制限はなく、両者の合意に基づいて決定する。
具体的な支援内容としては、子どもの預かり保育(サポーター宅または子育て医師宅)、子どもの送迎(保育施設などへ)、病児・病後児保育、家事支援などである。
サポーターによる支援活動については、以下の手順で進めている。
(1)育児支援を行うことができるサポーターを公募する。
(2)サポーターは、支援活動に当たって、保育サポーター研修会を受講する。
(3)支援を必要とする子育て医師は、相談員へ連絡する。
(4)相談員は、バンク登録者の中から、女性医師の要望に合うサポーターを2~3名探し、子育て医師に紹介する。1人の子育て医師に対しサポーターがチーム体制で支援することで、発熱等での急な呼び出しにも対応可能とする。
(5)サポーター候補者と子育て医師が面談し、要望の確認、支援内容の確認、報酬等の決定を行う。なお、報酬に関しては、相談員よりモデル単価に関する情報を提供する。面談の日時等の調整は相談員が行う。面談には要請があれば相談員が立ち会う。サポーター決定後は、当事者同士で協議して進める。
(6)子育て医師は、医師である保護者の判断の下、病児・病後児を預ける時は、病児依頼連絡票に必要事項を記載してサポーターに依頼する。
(7)相談員は、バンクの活用状況を適宜委員会へ報告する。
(8)必要に応じてサポーターの資質向上のための研修会を開催する。
助成制度については、子育て支援助成制度(利用医師に県医師会から利用料金の一部を助成)、緊急時タクシー利用助成制度、チャイルドシート・ジュニアシートの貸与制度、サポーターを対象とするインフルエンザ予防接種料金の助成制度などがある。
万が一の事故に備えて、子育て援助活動補償保険(サービス提供会員傷害保険、依頼子ども傷害保険、賠償責任保険)に加入している。
平成28年4月現在、登録医師数は107名、登録サポーター数は141名、平成27年4月から平成28年3月までの延べ利用時間数は1万3014・5時間となり、子育て医師の就業継続に高い効果を上げている。