平成28年(2016年)5月2日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース
介護保険委員会答申「生活者を中心においた地域医師会と地域行政による『多機関・多職種連携「プラットホーム」』の構築」について
鈴木邦彦常任理事
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鈴木邦彦常任理事は、4月27日の定例記者会見で、介護保険委員会が会長諮問「地域包括ケアを構築するための多職種連携のあり方について~地域医師会を中心にして~」を受け、鋭意検討を重ねた結果、「生活者を中心においた地域医師会と地域行政による『多機関・多職種連携「プラットホーム」』の構築」として取りまとめ、3月23日、野中博委員長(東京都医師会顧問)から横倉会長に提出したことを報告し、その概要を説明した。
内容は、(1)はじめに、(2)生活を途切れさせず、速やかに戻すための医療の充実、(3)多機関・多職種連携の推進、(4)「かかりつけ医」の役割の明確化について、(5)入院医療機関、行政、地域の生活者との関わり方、(6)これまでの日本医師会の提言を振り返って、(7)終わりに―で構成され、巻末には「地域医師会における地域包括ケアシステム構築の実践例」が参考資料として添付されている。
同常任理事は、本答申書の骨子について、1.地域包括ケアシステムは、地域の生活者の参画の下、各地域に見合った形で構築する必要があり、地域の生活者との接点が多い「かかりつけ医」の役割が、ますます重要になる、2.地域包括ケアは、高齢者対策に限定せず、全てのライフステージで推進されるべきであり、特に少子高齢社会を支え、地域・社会貢献に参画できる「元気高齢者」を育成・支援する、3.「かかりつけ医」の人材育成も含めて、地域医師会の関わりが重要であり、日医、都道府県医師会の適切な支援が求められる、4.在宅医療や地域支援事業では、QOL(Quality of life)やQOD(Quality of death)の向上が重要であり、病院と「かかりつけ医」が協働して、「かかりつけネットワーク」を地域に根付かせ、生活者が適宜活用できる環境を整える必要がある―という4つの視点から取りまとめられていると説明した。
(2)では、地域包括ケア体制づくりのために地域のリーダー役を担う「かかりつけ医」の育成、「地域支援事業」における地域医師会と地域行政の水平的な連携、更に日医や都道府県医師会が地域医師会を積極的に支援し、地域支援事業を充実普及・定着化させることが重要であるとしている。また、「認知症への対応」としては、新オレンジプランの「7つの柱」の全てに、地域医師会及び「かかりつけ医」が参画し、認知症の人が自分らしく生きていけるような意識の醸成や互いに支え合う環境づくりに地域全体で取り組むことの重要性を指摘している。
(3)では、多機関・多職種連携のための「プラットホーム」の構築には、「ヘルスプロモーション理念」を基に、1.地域資源をネットワーク化する「ソーシャルキャピタル」の醸成を図る、2.今ある地域資源を有効活用するリソースマネジメントを原則とする、3.多職種がお互いに力を引き出すエンパワメント(潜在能力の賦活化)関係となる―ことなどが必要であり、この「プラットホーム」の活用には、更に「アウトリーチ」も重要だとしている。
(4)では、「かかりつけ医」が、「かかりつけ歯科医」や「かかりつけ薬剤師・薬局」、ケアマネジャーなど、地域の多機関・多職種をマネジメントして「かかりつけネットワーク」を構築すれば効果は一層高まるとし、そのためにも、日医が今年4月より開始する「日医かかりつけ医機能研修制度」と都道府県医師会の支援が重要であるとしている。
(5)では、入院医療機関の役割として、有床診療所は、特に在宅療養高齢者とその家族にとって切れ目のないサービスを身近な場所で受けられる施設として重要であり、中小病院と連携して「かかりつけネットワーク」の推進役として活用していくことが大切だとしている。
(6)では、これまでの日医の提言を振り返った上で、地域包括ケアシステムが十分機能するためには、地域の生活者の心構えも大切であり、同時に生活者の視点に立ったケアマネジメントの提供がその鍵となるとしている。
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