医師は、日進月歩の医学、医療を実践するために、生涯にわたって自らの知識を広げ、技能を磨き、常に研鑽する責務を負っている。医師の生涯教育はあくまで医師個人が自己の命ずるところから内発的動機によって自主的に行うべきものであるが、自己学習・研修を効果的に行えるよう日本医師会は生涯教育制度を実施している。
日本医師会生涯教育制度は、医師の研修意欲をさらに啓発・高揚させること、また社会に対しては、医師が勉強に励んでいる実態を示し、社会からの信頼を増すことを目的としているが、その礎となる日本医師会生涯教育カリキュラムは、1992年に作成され、その後、1995年、1999年、2001年、2009年、2016年と内容を見直してきた。
日本医師会生涯教育カリキュラム〈2016〉2022年4月版は、日本医師会生涯教育カリキュラム〈2016〉をベースとして、医療・医学の進歩および医学教育の見直しを踏まえ、新たな生涯教育の目標の設定ならびに、基本理念の明確化を図るとともに、カリキュラムコードの適切な選定に資することを目的として、改訂を行ったものである。
カリキュラムの特徴として、患者全体を診ることができるよう、日常診療上頻度の高い症状や病態について、年代(小児・成人・高齢者)、性別の特性に配慮した鑑別診断の列挙と初期対応、さらに適切なタイミングで専門医への紹介ができ、自分自身で継続管理する場合にはエビデンスに基づいた治療を行えることに重点をおいている。
本カリキュラムに目を通して自己学習を行う際の目標を認識していただき、そのうえで学習を進め、講座・講習会を受講する際も偏りなく生涯教育の学習を進めていただきたいと考える。
一方で、各都道府県医師会、郡市区医師会等においても、各種講習会等を企画・立案する際にご活用いただきたい。