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令和5年(2023年)11月20日(月) / 日医ニュース

日本医師会の紋章(ロゴ)

 「アスクレピオスの杖」とは、ギリシャ神話に登場する名医アスクレピオスの持つ、一匹の蛇が巻き付いた杖のことで、医療・医術の象徴として世界医師会(WMA)、世界保健機構(WHO)のロゴなど、世界的に広く用いられています。
 医術の神であるアポロンの子、アスクレピオスは死人をも生き返らせる程の名医で、そのために冥界を混乱させたとしてゼウスに殺されてしまいますが、その後、医神として天空に上げられ、へびつかい座となりました。
 神話では、アスクレピオスが患者を診察している時、彼を驚かせた蛇を杖で殺してしまいますが、他の蛇が、死んだ蛇の口に魔法の薬草を入れてよみがえらせます。この力に感動した彼は杖に巻きついた一匹の蛇をシンボルとしましたが、へびつかい座になったアスクレピオスは杖を持っていません。
 下界の身に必要で天空の神に不必要なもの。それは「医の倫理」であり、転ばぬ先の杖と考えられています。
 日本医師会のロゴは昭和36年に決定され、その由来は「医学を象徴する」蛇によって、医薬に関係の深い乳鉢と乳棒を図案化してあるとのことです。
 「医の倫理」の杖がなく、なぜ、乳棒・乳鉢なのか? 医薬分業について、いろいろな意見がありますが、武見太郎元会長の意向が詰まったロゴから、私は医師の処方権の重要さを再認識させられました。

(禿)

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