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令和5年(2023年)9月20日(水) / 日医ニュース

次期診療報酬改定に関する基本方針策定に向けた議論がスタート

 社会保障審議会医療保険部会が8月24日に都内で、医療部会が翌25日に都内とWEB会議でそれぞれ開催され、次期診療報酬改定に関する基本方針の策定に向けて、各委員からの意見聴取が行われた。
 医療保険部会に出席した猪口雄二副会長は、「骨太の方針2023」において次期トリプル改定では物価高騰、賃金上昇等の影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスを受けられるよう、必要な対応を行う旨が記載されていることを踏まえた対応をするよう要求。更に26年間見直しが行われていない食事療養費の改定や、新興感染症にも対応できるような診療報酬上の評価、働き方改革に関する診療報酬上の評価の維持・継続なども要望した。
 医療部会では、角田徹副会長がまず、令和6年度は診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定となることを指摘した上で、(1)物価高騰に対応した賃金上昇を反映する、(2)有床診療所を含む全ての医療機関の経営状況を安定させる、(3)医療人材を確保する―ことなどの必要性を訴えた他、これからの地域医療体制維持のため、地域に密着した医療機関を適切に評価する重要性や、再び新興感染症が発生した場合、対応可能な体制やシステム構築を診療報酬でしっかり評価する必要性を強調した。
 また、釜萢敏常任理事は、「医療業界のみ待遇改善が進まないということになれば、人が集まらなくなる」と危機感を示し、次期改定で医療従事者の待遇改善が進むことを強く要望した。
 なお、この日の部会をもって任期満了となり、委員を退任することになった釜萢常任理事は最後にあいさつを行い、今後は、医療部会での議論が政策にどの程度反映されているか検証することの必要性を提言した。

これまでの議論の整理が示される―中医協

 一方、個別項目に関する一巡目の議論を終えた中医協では8月30日、総会が行われ、令和5年4月から開始された、令和6年度診療報酬改定に関する議論について、その内容及び意見を整理した概要が厚生労働省事務局から報告された。
 同総会では、令和5年4月からこれまでの間に、(1)医療DX、(2)医療計画、(3)働き方改革の推進、(4)外来、(5)入院、(6)在宅、(7)歯科、(8)感染症、(9)調剤、(10)小児周産期―について、1回ないし2回の議論を行ってきており、資料ではそれぞれの項目について、「現状と課題」「論点」「主な意見」に分けて整理されている。
 各項目の中で議論となった主なポイントとしては、
 (1)では、①医療情報プラットフォーム②診療報酬改定施行時期後ろ倒し③電子処方箋(せん)④サイバーセキュリティ⑤医療DXによる医療従事者の勤務環境改善
 (2)では、①救急医療②災害医療③へき地医療④周産期医療⑤小児医療 等
 (3)では、①働き方改革に係るこれまでの経緯②医師の働き方改革に係る取組への評価③タスクシェア・タスクシフトに対する評価④医療従事者の負担軽減等に対する評価
 (4)では、①かかりつけ医機能・医療機関連携②生活習慣病対策③外来機能の分化の推進④オンライン診療
 (5)では、①総論・急性期/高度急性期入院医療②回復期入院医療③慢性期入院医療 等
 (6)では、①在宅医療を取りまく状況②地域包括ケアシステムにおける在宅医療③訪問診療・往診等に係る診療報酬上の評価 等
 (8)では、①新興感染症発生・まん延時における医療②新興感染症以外の感染症に対する医療③薬剤耐性対策
 (9)では、①服薬指導・かかりつけ薬剤師②重複投薬、ポリファーマシー及び残薬等への対応③医療機関と薬局の連携等④薬局の体制に関する評価 等
 (10)では、①小児外来医療等②小児急性期医療体制③小児高度急性期医療体制④医療的ケア児⑤小児の緩和ケア医療⑥周産期医療
―がそれぞれ挙げられている。
 また、「その他の了解された事項」として、令和6年度診療報酬改定施行時期の後ろ倒しが了承されるまでの経緯についても触れられている。
 今後、中医協では次期診療報酬改定に向け、引き続き議論していくことになっている。

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