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令和5年(2023年)8月20日(日) / 日医ニュース

見える化

 最近、社会保障分野のさまざまな場面において、「見える化」という表現が積極的に使われている。「医療費の見える化」「地域医療構想での必要病床数の見える化」などである。
 「見える化」は、元々企業における業務改善を目的として課題を共有するための「可視化」であり、決して新しいものではなく、経営上の一手法として行われてきた。経営に寄与する業務の「適正化」「効率化」「標準化」「管理化」などにつながることが期待されている。
 医療分野においては、医療費、治療成績、重症度、平均在院日数、必要医師数、必要病床数、更に地域に必要な外来機能などを指標として数値化している。これらの指標を基に「計画」として経年的、地域別に分析・検証・見直しを繰り返しながら、行政、医療関係者、国民が目指す数値目標に向かって邁進(まいしん)する。
 確かに、各種の医療施策を漠然とした印象から議論するより、さまざまな視点からの指標を数値で示すことで説得力が高まり、理解を得られやすい。実際、既に地域包括ケアシステムを支援する情報システムが国から提供されるなど、各種施策を進める手法として定着した感がある。現在、データ化が迅速・簡便に行えるようになったことから、今後もさまざまな項目が数値化され、目標値を掲げて施策が進められるものと考える。
 一方、ピットフォールがあることも事実である。データの切り取り方、関連する要因を網羅的に解析しているかなどにより解釈が大きく変わることである。

(榮)

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