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令和5年(2023年)7月5日(水) / 日医ニュース

医療機関の意向を尊重し地域医療推進協議会等の場で協議を

医療機関の意向を尊重し地域医療推進協議会等の場で協議を

医療機関の意向を尊重し地域医療推進協議会等の場で協議を

 紹介受診重点医療機関に関する説明会が6月7日、日本医師会館大講堂とWEB会議のハイブリッド形式により開催された。
 本説明会は、令和3年の医療法改正によって外来機能報告制度が設けられ、重点的に活用する外来(紹介受診重点外来)を基幹的に担う「紹介受診重点医療機関」が明確化されることを受け、本年5月以降、各地域で始まった協議に資することを目的とし、令和5年度都道府県医師会外来機能報告担当理事連絡協議会を兼ねて開催したものである。
 当日は、外来機能報告の概要について厚生労働省から説明がなされるとともに、「協議の場」のあり方等について質疑応答や意見交換が行われた。
 説明会は、江澤和彦常任理事の司会により開会。
 冒頭、あいさつした松本吉郎会長は、「『紹介受診重点医療機関』の協議の場は、『地域医療構想調整会議』における協議が想定され、多くの郡市区医師会の会長が調整会議の議長等を務めておられることから、この制度に対する全国的な理解の進展が欠かせないと考え、本日の説明会を急遽(きゅうきょ)開催することとした」と開催の趣旨を説明。全国各地の協議の円滑な推進に資することへの期待感を示した。

外来機能報告制度や協議の進め方などを概説

 議事では、まず、「外来機能報告制度について」と題し、谷口倫子厚労省医政局地域医療計画課外来・在宅医療対策室長が講演した。
 同室長は、「外来機能報告制度の目的は、患者の流れがより円滑になることで、病院の外来患者の待ち時間の短縮や勤務医の外来負担の軽減、医師の働き方改革に寄与することにある」と強調。その報告は年1回(10~11月)とされ、病院・有床診療所においては義務、無床診療所においては任意となっているとした。
 報告項目については、(1)医療資源を重点的に活用する外来の実施状況、(2)紹介受診重点医療機関となる意向の有無、(3)地域の外来機能の明確化・連携の推進のために必要なその他の事項―があると説明。
 (1)では、重点外来の報告項目として、悪性腫瘍(しゅよう)手術の前後の外来など「医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来」、外来化学療法、外来放射線治療など「高額等の医療機器・設備を必要とする外来」、紹介患者に対する外来など「特定の領域に特化した機能を有する外来」の実施状況を例示した。
 (2)では、紹介受診重点医療機関の基準として、「初診の外来件数の40%以上かつ再診の外来件数の25%以上」を挙げ、「もし、医療機関が紹介受診重点医療機関となる意向がありつつも、基準を満たさない場合には『紹介率50%以上かつ逆紹介率40%以上』が参考とすべき水準になる」と述べた。
 (3)では、紹介・逆紹介の状況、外来における人材の配置状況、外来・在宅医療・地域連携の実施状況(生活習慣病管理料や在宅時医学総合管理料等の算定件数)などの報告が求められるとした。
 その上で、谷口室長は、初回となる令和4年度において、スケジュールが大幅に遅れたことを謝罪するとともに、令和5年度においては、これらの項目を「地域の協議の場」での議論に活用して欲しいとした。
 また、協議の結果は各都道府県が公表するが、国民への周知・啓発も必要になると強調。「患者がまず地域のかかりつけ医機能を担う医療機関を受診し、必要に応じ紹介状を携えて紹介受診重点医療機関を受診する、そして、状態が落ち着いたら逆紹介を受けて、地域に戻ってきた患者をかかりつけ医に受け止めて頂くという流れによって、地域の好循環をつくり出していきたい」と述べた。
 地域医療支援病院との違いについては、地域医療支援病院は医療施設機能の体系化の一環として医師の少ない地域を支援することが業務の一つとされている施設であるのに対して、紹介受診重点医療機関は患者の流れを円滑化していくための施設であり、その役割に違いがあると解説。
 また、その要件に関しても、地域医療支援病院が①紹介率80%以上②紹介率65%以上かつ逆紹介率40%以上③紹介率50%以上かつ逆紹介率70%以上―で、原則200床以上などとされているのに対し、紹介受診重点医療機関は、「初診に占める重点外来の割合40%以上かつ再診に占める重点外来の割合25%以上」となっており、必ずしもこの要件に縛られず地域での協議によって決めることが可能などの違いがあるとした。
 協議の進め方については、まず「紹介受診重点外来の基準を満たし、意向のある医療機関であるか」、次に「同基準を満たすが、意向のない医療機関であるか」、そして「基準を満たさないが、意向のある医療機関であるか」の順で検討を行い、協議の結果と相違があった場合は再協議を行った上で、それでも折り合わなければ次の段階の協議に入るという流れをフローチャートを用いて解説した。
 また、紹介受診重点医療機関の選定に資するため、必要となるデータを厚労省より提供する予定であるとした。
 その後は、谷口室長に加え、中西理厚労省在宅医療専門官ら厚労省事務局の他、猪口雄二副会長も登壇し、松本会長も質疑や解説等に加わる等、活発な協議が行われた。
 最後に猪口副会長は、「紹介受診重点医療機関の協議は今回初めてとなるが、紹介受診重点医療機関になるか否かはあくまでも個々の医療機関の意向が尊重され、地域医療を構成する関係者が自主的に決めるものである」と強調。「協議に当たって明らかとなった課題や好事例についてはぜひ、日本医師会に情報提供して欲しい」と要請した。

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