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令和3年(2021年)11月5日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の現況について

日本医師会定例記者会見 10月20日

新型コロナウイルス感染症の現況について

新型コロナウイルス感染症の現況について

 中川俊男会長は、(1)新型コロナウイルス感染症の感染状況、(2)今後の感染拡大に向けた医療提供体制、(3)経済の再活性化、(4)新型コロナウイルス感染症の現状と今後―について日本医師会の見解を交えながら説明を行い、日本医師会は引き続き、政府の方針に協力を惜しまず、全力で新型コロナウイルス感染症の収束を目指していく意向を示した。
 (1)では、全国的に感染者数は低い水準が続き、医療提供体制も改善されてきているとした上で、その要因については未解明だが、緊急事態宣言の発令、ワクチン接種が急速に進み、高齢者の感染者及び重症者の割合が減少、感染防止策の徹底、感染拡大による更なる行動変容などが総合的に関係しているとの考えを示すとともに、「今後の備えとするためにも、関係者の叡智(えいち)とエビデンスを集結し、第5波の縮小要因を早急に分析する必要がある」と述べた。

ワクチン接種の意義を強調

 一方、ワクチン接種先行国で感染が再拡大している事例にも触れ、これらの国々では2回のワクチン接種が一定程度行き渡った後、接種済みの人のブレークスルー感染が広がっていること、感染者及び死亡者が再び高い水準となっていることから、わが国の今後の感染状況に懸念を示した。
 また、日本においては、10月19日時点で全体の約7割が2回の接種を済ませ、65歳以上では2回目の接種率が9割を超え、接種率は着実に上昇しており、「ワクチン接種には意味がある」とその意義を強調。今後も引き続き希望する人の接種を早急に済ませ、3回目の接種も必要になるとした。
 (2)では、日本医師会としても都道府県医師会に対して、関係団体との連携や行政等との協議を更に深めるよう要望しているとした他、10月15日開催の新型コロナウイルス感染症対策本部において、「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」(以下「全体像」)が示されたことに言及。
 その資料の中で、十分に稼働しなかった病床として不適切な言葉が使用されていることについては、全国知事会から「レッテル貼りが行き過ぎてしまい、結果として真に必要な医療体制の確保に悪影響を及ぼさないよう配慮を求める」との見解が示されていることを紹介し、「日本医師会も同じ考えだ」とした上で、活用されなかった病床が生じた理由として、①即応病床と準備病床についての理解を行政と医療機関が共有していなかった②患者を病状に応じてどの医療機関で受け入れられるのかという情報の共有と連携が十分でなかった―ことなどが挙げられると説明した。
 また、10月5日に続いて年内にも病床確保をテーマの一つとした意見交換会を全国知事会と開催する他、今回の「全体像」については、同月27日に全国自治体病院協議会や四病協、厚生労働省と共に「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」を開催し、今後に向けて踏み込んだ議論を行う予定であることを明らかにした。
 その上で、中川会長は「全体像」の詳細については今後詰めていくこととなるが、コロナ医療と一般医療の両立の下、各医療機関の役割分担と連携の再確認、再構築が重要になるとし、日本医師会としても、地域や医療機関の実情に応じて、しっかりと話し合いながら役割分担を明確化できるよう支援していくとの意向を示した。

実証段階の途中でも改善・修正を

 (3)では、「ワクチン・検査パッケージ」に関する技術実証が始まったことを踏まえて、10月19日には内閣官房、厚労省と意見交換を行ったことを報告。①検査はワクチン未接種の人全てに実施するのではなく、まずは、例えばアレルギーなど体質の心配からワクチン接種できない人に限定する②抗原定性検査キットは感度の高い製品を推奨する③陰性の検査結果を過大評価しない④無症状者の検査感度は低下する―といった点を十分に周知した上で運用すべきとの考えを説明するとともに、意見交換の中では、今後について、運用上の課題を確認しつつ、実証段階の途中でも改善・修正を同時に進め、事業の本実施の実現につながるよう要望したことを明らかにした。
 (4)では、現在治験中である経口薬について、「感染初期の段階から使用できる薬が普及すれば、コロナ対応が画期的に変化する」として、期待感を示すとともに、「そのためには十分な供給、誰でも使用しやすくなることが必要である」と強調。政府に対して、製薬メーカーとの事前交渉など格段の配慮を求めた。
 また、感染者が一定程度増加したとしても、死亡者、重症者が少なければ良いと考えるのは早計だとし、その理由として、感染した際の後遺症の問題があると指摘。国立国際医療研究センター(NCGM)が行った後遺症の調査報告にも触れ、重症化リスクが高い人と、後遺症が残りやすい人の傾向が異なることや、後遺症の予防は新型コロナに罹患(りかん)しないことであり、基本的な感染対策が重要であることがコメントされているとして、これを支持するとした。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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