日本医師会は国民の皆様の健康を守ります。
患者さんが受ける診察や検査などの医療行為は細かく値段が決められており、それぞれの医療行為ごとに支払われる料金の合計と医薬品代を合わせた合計額が医療費となります。患者さんはそのうちの3割※1を医療機関の窓口で支払い、残りの7割は保険者(患者さんが加入している国民健康保険・全国健康保険協会・健康保険組合など)から支払われています。
一方、新聞などで昨今取り上げられている診療報酬は、患者さんが保険証を提示して医師などから受ける医療行為に対して、保険制度から支払われる料金のことです。
診療報酬は医療の進歩や世の中の経済状況とかけ離れないよう通常2年に一度改定(見直し)されます。厚生労働大臣は政府が決めた改定率を基に中医協※に意見を求め、中医協が個々の医療サービスの内容を審議し、その結果に基づいて、同大臣が決めた公の価格です。
厚生労働大臣が決めた診療報酬がきちんと払われているのに「医療崩壊」を耳にするのはなぜでしょう? 近年の診療報酬を抑える圧力により、医療機関経営は苦境に立たされています。地方では閉鎖する病院や診療所が増え、都市部では救急医療や産科・小児科が不足する一因となっています。地域医療の崩壊を食い止めるため、適正な診療報酬の評価、引き上げが必要です。
この先日本は高齢化が進み医療費はますます増えると予測されます。しかし一方で「はじめに財政ありき」で診療報酬の過度の抑制が続いているために、深刻な医療崩壊が起きています。日本医師会は適正な医療費の中で国民が安心、納得できる過不足ない医療の提供を目指していきます。
あなたが払う医療費は医療そのものの維持・安定、地域社会の安心に役立っています。また、地域の診療所(クリニック)・病院が閉鎖せず存続することは他の産業にも多くの雇用を生み出し大きな経済効果につながります。