指導:矢島外科泌尿器科
   矢島 暎夫 

生活改善薬として登場
 毎日の生活の質を、より高いものにしようとする考え方が普及するに従って、命に直接かかわるわけではないものの、「これが解決できたらもっと幸せなのに」という悩みを改善する意味で“生活改善薬”が登場してきました。肥満治療薬や育毛促進剤などがそれです。
 経口勃起不全治療薬・バイアグラも生活改善薬のひとつです。

効果はあるが使い方に注意
 バイアグラは勃起不全に対する薬で、媚薬でも強壮剤でもありません。したがって勃起不全のない健康な男性がバイアグラを飲むと、痛みを伴う勃起が何時間も続く“持続勃起症”になる可能性があります。その治療はたいへん困難で、これが原因となって勃起不全になることもあり、まったく逆効果です。
 また、血圧に関係するため、心臓病でニトログリセリンを飲んでいる方では急激な血圧低下によって死亡する例もあり、特に注意が必要です。

医師の処方が必要な理由とは
 厚生省は、バイアグラを医師の処方が必要な薬に定めました。「薬を適正に服用する」という基本的なルールが、この薬ではよりいっそう求められています。
 しかし、患者さんが勃起不全かどうかを厳密に診断することは、専門医であってもかなりむずかしいことです。かかりつけ医として常に健康状態を把握している関係にある患者さんならばともかく、問診で「うそ」を言って処方箋をもらえる場合も考えられます。また、転売によりバイアグラを手に入れて飲んだ方が副作用で死亡する可能性もあります。
 日本医師会としては、事故防止の観点から、医師の処方のもとに服用することを強く呼びかけています。

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