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第1294号(平成27年8月5日) |
7月15日
医療等ID導入に関する中間とりまとめを公表
石川広己常任理事は,会内のプロジェクト委員会である「医療分野等ID導入に関する検討委員会(委員長:山本 隆一 東京大学大学院医学系研究科医療経営政策学講座特任准教授)」から中間とりまとめの提出を受けたことを公表し,その概要を説明した.
平成27年3月に発足した同委員会は,厚生労働省の『医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会』の中間まとめの内容を引き継ぐ形で,6名の委員に加え,関係省庁の担当者のオブザーバー参加も得て,具体的な検討を行ってきた.その結果,6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」の中に,かねてより三師会が主張してきた「医療等分野における番号制度の導入」という項目が盛り込まれることとなった.
中間とりまとめは,(1)はじめに,(2)医療分野におけるマイナンバーの取り扱い,(3)医療等IDの考え方,(4)医療等IDの発番方法,(5)医療等IDの記載・格納媒体,(6)移行期の取り扱い,(7)今後必要な検討事項─から構成されている.
(2)では,マイナンバー制度は,保険給付の支給や保険料の徴収事務等の医療分野の現金給付に活用するには有用な制度であるとする一方,病歴や服薬履歴等,人によっては第三者に知られたくない情報や,患者同意の上で集めている情報が存在する医療情報の連携等については,マイナンバーとは別の,医療分野専用の番号もしくは符号(医療等ID)を創設し,利用すべきであることを改めて確認している.
(3)では,医療等IDの考え方として,(1)一人に対して目的別に複数のIDを付与できる仕組み(2)本人が情報にアクセス可能な仕組み(3)情報の突合が可能な仕組み(4)医療等IDに関しての法整備─について,それぞれ検討すべきとしている.
(4)では,医療等IDの発番に当たっては,マイナンバー制度で構築するシステム等,既存の社会インフラや組織を最大限活用することで,投資を抑えるべきとしている.
(5)において,現行の保険証に医療等IDを記載・格納する方法と,個人番号カードの公的個人認証機能を活用したオンライン保険資格確認の方法を併記した上で,(6)では,医療等IDによる資格確認と保険証記載情報(記号・番号等)による資格確認が並存する期間の対応について,医療機関窓口での混乱を最小限に抑えるための措置や,国民に対する啓発が必要であることに言及している.
最後に同常任理事は,委員会の最終報告の取りまとめに向けて,(7)に示された検討課題を中心に,引き続き具体的な議論を進めていくことを明らかにした.
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