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第1291号(平成27年6月20日) |
今村副会長,羽鳥常任理事
水銀血圧計・水銀体温計の今後の使用に関して塩崎厚労大臣に要望
今村聡副会長,羽鳥裕常任理事は五月二十九日,厚生労働省を訪れ,塩崎恭久厚労大臣に,日医,日本医学会で取りまとめた「水銀血圧計・水銀体温計の今後の使用について」を提出した.
水銀に関しては,その採掘や使用・廃棄に関する環境問題の高まりを受けて,平成二十五年に「水銀に関する水俣条約」が採択され,平成三十二(二〇二〇)年以降には,水銀を使った機器の製造並びに輸出入が原則として禁止される見通しとなっている.
この状況を受けて,日医では,日本医学会と共に現在も多くの医療機関・健診・教育現場で用いられている水銀血圧計等の今後の使用に関して,
●日本高血圧学会によれば,水銀血圧計は,通常の取り扱いでは,ほとんど環境負荷なく高精度な血圧測定が可能であることから,現在使用している水銀血圧計について直ちに廃棄・交換を行う必要はない
●水俣条約など社会環境の変化も鑑み,実地診療では今後,新規に水銀血圧計等の導入を行わないことを推奨する〔なお,水銀血圧計について,日本高血圧学会では,代替品として医用(医療機関で測定するため)の上腕式電子血圧計の使用を推奨している〕
─との見解を取りまとめた.
今回の要望では,その見解を説明するとともに,今後,水銀血圧計等の廃棄にかかる費用の増大が見込まれることから,それらの廉価かつ円滑な廃棄が実施できるよう,公的な支援とともに,廃棄物の回収促進事業(モデル事業)等の実施について,特段の配慮を求めた.
見解の内容等を説明した羽鳥常任理事は,(1)環境省の要請の下に,川崎市で医療機関の水銀血圧計・水銀体温計の回収モデル事業を実施した(2)同様の趣旨の要望を望月義夫環境大臣にも行った─ことなどを報告.「この問題に関しては,周知が進んでおらず,厚労省にも協力をお願いしたい」と述べた.
これに対して塩崎厚労大臣は,水銀処理問題の重要性に理解を示した上で,「事業系の一般廃棄物と一緒に廃棄されてしまっては大変なことになる.そうならないためにも,望月環境大臣とも協力しながら,厚労省としても対応していきたい」と応じた.
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