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第1128号(平成20年9月5日) |
第1回医療政策会議
会長諮問は「経済成長と医療政策のあり方」
日医の三大会議の一つである医療政策会議の今期第一回目の会合が,八月六日,日医会館で開催された.
冒頭,あいさつに立った唐澤人会長は,「医療政策会議は,生命倫理懇談会,学術推進会議とともに,会内委員会の三本柱と位置付けられており,昭和五十九年の発足以来,医療提供体制,診療報酬,財源論など,その時々の重要課題について積極的な政策提言をいただいている.政府による長年の社会保障費の機械的抑制が,医療崩壊という形で医療現場や国民に暗い影を落とし,医療環境をますます悪化させている状況を念頭に置きながら,忌憚(きたん)のないご意見をいただきたい」と述べた.
その後,議長に田中滋慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授,副議長に酒井國男大阪府医師会長がそれぞれ指名され,田中議長に諮問「経済成長と医療政策のあり方」が手交された.
田中議長は,「政策を実現していくためには,社会全体に信頼されるよう,世の中を意識することが大切.出来るだけたくさんの意見をいただき,その方法を探っていきたい」と述べた.
当日は,初会合ということで,諮問に関してフリーディスカッションが行われた.委員からは,「諮問から,『医療費亡国論からの脱却』という副題が浮かんだ.ついに日医がそこからの脱却を図ろうとしていると受け止めた」「今後,医療現場の混乱がますますひどくなった時に,正確でフェアな意見を言える団体は,日医しかない」など,今後の日医の行動に期待を示す意見が多く出された.
その一方で,「今でも医師は“欲張り村の村長さん”だと思われている.日医がイメージチェンジをし,“欲張り村の村長さん”説では説明出来ないことを行わないと,国民の不信感を払拭出来ない」「日医が目に見える形で変化し,日本の医療全体を考えて行動している職能集団であると見えることが重要」との指摘もあった.
また,「医療費負担が増えた時,その増額分が何に使われるか,これだけの医療を提供するためには,これだけの医療費が必要であるなど,お金の流れを国民に分かりやすく説明する必要がある」として,国民に正確な情報を伝えるための広報活動の重要性を指摘する意見など,積極的な発言が相次いだ.
医療政策会議
有海 躬行(山形県医会長)
碓井 静照(広島県医会長)
大久保吉修(神奈川県医会長)
桐野 明(国立国際医療センター総長)
権丈 善一(慶大教授)
酒井 國男(大阪府医会長)
神野 直彦(東大大学院教授)
鈴木 聰男(東京都医会長)
妹尾 淑郎(愛知県医会長)
田中 滋(慶大大学院教授)
鶴谷 嘉武(群馬県医会長)
長瀬 清(北海道医会長)
山口 二郎(北大大学院教授)
横倉 義武(福岡県医会長)
(敬称略,五十音順) |
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