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令和8年(2026年)10月20日(火) / 南から北から / 日医ニュース

ピアノコンクール雑感

 私は3年前から石巻ピアノコンクールに参加しています。ピアノの先生に勧められ、深く考えずに始めました。
 最初の年、やってみたら大変でした。足が地につかないというか、とにかく上がってしまって、どうしようもなくなりました。穴があれば入りたいところでしたが、入るべき穴もなく立ち往生でした。参加者の主力は中学生、高校生でした。ピアノもスポーツと似たところがあって、若い人の方がうまいのです。ですから一応混ぜてもらっているという形になります。ところが年寄りには年寄りの役割があって、それなりの影響力を及ぼしました。その話をします。
 コンクールは発表会とは違って、競技会ですから暗譜が当たり前です。この暗譜力が、年を取ると低下します。最初の年の私の失敗は、暗譜の崩れで始まりました。審査員の講評にも、「良い演奏だったのに、暗譜のミスがとても残念です」と書いてありました。30歳以上で参加したのは私一人だったので、高齢者の暗譜力の問題が目立ちました。主催者の先生たちも、さすがに気の毒に思ったのでしょう。翌年から高齢者は楽譜を見て弾いても良いことになりました。
 ピアノは見かけ以上に体力を使います。若い人にはまずありませんが、年を取ると低血糖に演奏が妨げられたりします。指が震えたり、変な動きをしたりします。10年程前に、この現象に気付きましたので、演奏の前にチョコレートを食べています。
 昨年のコンクールでは中学生の演奏を1時間ほど緊張して聴いた後の演奏でした。6合目までは無難に進行していましたが、後半ちょこちょこミスが出るようになりました。後半に始まったため、ミスの原因は疲労だと思いました。人の演奏をはらはらしながら聴いているのは、かなり疲れるのです。先生に報告したら耳栓をして眠っている人もいますと言われました。
 事程左様に若い人の中で競うのは楽ではないのです。そのことが主催者に伝わったのでしょうか。昨年のコンクールから50歳以上を対象とするコースが始まりました。恐らく参加者は私一人でしょうから、優勝するのではと期待が膨らみました。張り切って出ましたが、50代の女性が一人参加し、複数になってしまいました。70代後半の老人が、鞭(むち)打って出ていることが、主催者の同情を誘ったのでしょうか。いずれにしても、高齢者は暗譜なしでも参加できること、50代以上の部門ができたことの二つの変革により、高齢者でも参加しやすくなりました。今後の老人パワーの展開が楽しみです。

宮城県 石巻市医師会報 NO.334より

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