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令和7年(2025年)5月5日(月) / 日医ニュース

デイサービス

 私は中学生の頃にエレキギターを弾き始めた。学生時代は軽音楽部ではなかったが、下手なバンドを組み、ミュージシャン気取りで楽しんでいた。
 その後、医師となりギターからすっかり離れ、バンドどころではない十数年が過ぎた。二度とステージに立つことはないと思っていた。
 そんなある日、かつてお気に入りのバンドのギタリストが経営しているライブハウスを訪れた。丁寧に接してくれた店員さんのおかげもあり、その後、何度か足を運ぶようになった。
 そこでは同年代のロック好きな"おじさま"達が、もう誰とも語り合うことがないと思っていた昔のロック話にきらきら目を輝かせながら、グラスを片手に語り合っていた。自然な流れで私もその輪に加わり、ある日「ギターを弾いてみないか」と誘われた。数十年ぶりにさび付いたギターを引っ張り出した。
 その店では「セッション」というイベントがあり、その内容は、参加費を払い、事前に告知された課題曲を練習し、当日ステージで演奏できるというものである。久しぶりに必死に練習し参加した。数十年ぶりにステージの心地良い緊張と興奮がよみがえる。
 それ以降私は毎回セッションに参加し、今ではその選曲まで任されるようになった。私は"アラ還"であり、周囲の参加者達も同年代だ。
 酒が飲めるかどうかはさておき、共通の趣味でつながる―これこそ最高の"私のデイサービス"であり、このようなお店は大切にすべきと思う今日この頃である。

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