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令和7年(2025年)1月20日(月) / 日医ニュース

中間年改定の年に行う期中の診療報酬改定案を了承 食事療養費は1食当たり20円引き上げへ

中間年改定の年に行う期中の診療報酬改定案を了承 食事療養費は1食当たり20円引き上げへ

中間年改定の年に行う期中の診療報酬改定案を了承 食事療養費は1食当たり20円引き上げへ

 中央社会保険医療協議会総会が昨年12月25日、都内で開催され、当日示された「中間年改定の年に行う期中の診療報酬改定について」並びに「令和7年度薬価改定の骨子(案)」を了承した。
 これにより、医科に関しては食事療養費が1食当たり20円引き上げられる他、薬価に関しては医薬品の役割や実態に合わせてきめ細かく見直しが行われることになった。

 25日の総会では厚生労働省事務局が、当日に行われた加藤勝信財務大臣と福岡資麿厚労大臣との折衝の結果決定した、中間年改定の年に行う期中の診療報酬改定の内容(入院時の食費の基準の見直し等)について説明。
 入院時食事療養費に関しては、令和6年度診療報酬改定において1食当たり30円の引き上げが行われたものの、食材費等の高騰は更に続いており、医療の一環として提供されるべき食事の質を確保する観点から、今回更に1食当たり20円引き上げるとされた(詳細は別掲)。

医療の質の維持・向上のためにも、食事療養費の評価は妥当

 議論の中で、長島公之常任理事は、「食事療養は治療の一環として非常に重要なものであり、主治医の指示の下、管理栄養士が患者一人一人の栄養管理を行い、回復を目指すものである。しかし、現場では食材費を抑えるため、冷凍食品や加工食品でやりくりするなどの工夫を強いられ、新鮮な食材を使えないばかりか、光熱費等の物価高騰も経営を非常に厳しくしており、医療の質を確保することが難しい状況にある」と主張。その上で、示された入院時の食費の基準の見直し案については、「医療の質の維持・向上のためにも、時宜に即した評価である」として、賛意を表明。病院団体の委員からも本提案に賛成する意見が出された。
 一方、支払側からは、大臣折衝事項を重く受け止めるとしながらも、「三つの対応案はいずれも令和6年度診療報酬改定で対応したばかりの項目で、改定の効果を検証した上で見直しの必要性を判断することが本来の流れであり、今後この基本的なサイクルを崩すことがないよう、事務局にはくれぐれもお願いしたい」との考えが示された。
 当日はその他、20日の薬価専門部会で了承された「令和7年度薬価改定の骨子(たたき台)」を基に作成された「令和7年度薬価改定の骨子(案)」についても議論が行われ、了承された。
 「令和7年度薬価改定の骨子(案)」は、20日に行われた3大臣合意(林芳正内閣官房長官、加藤財務大臣、福岡厚労大臣)と、当日に行われた加藤財務大臣と福岡厚労大臣との大臣折衝の内容を踏まえたものとなっている。
 その中では、令和7年度薬価改定について、令和6年度薬価調査に基づいて実施するとした上で、平成28年度の4大臣合意当時から、平均乖離(かいり)率が縮小するなど状況が変化していることや、現役世代等の保険料負担が上昇していることを踏まえ、令和3、5年度の薬価改定の慣例に固執することなく、必要な対応を行うとしている。
 対象品目については、「国民負担軽減の観点はもとより、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保の要請にきめ細かく対応する観点から、品目ごとの性格に応じて対象範囲を設定する」とし、具体的には、平均乖離率5・2%を基準として、(1)新薬創出等加算対象品目、後発医薬品についてはその1・0倍、(2)新薬創出等加算対象品目以外の新薬はその0・75倍、長期収載品はその0・5倍、(3)その他医薬品はその1・0倍―をそれぞれ超える医薬品を改定対象とするとしている〔改定の対象範囲は対象品目1万7440品目中、9320品目(53%)となる予定〕。
 薬価改定基準の適用については、「創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保、国民負担の軽減といった基本的な考え方を踏まえた対応を行う」とした上で、(1)後発医薬品等の価格帯集約、基礎的医薬品、最低薬価、及び新薬創出等加算については適用する、(2)追加承認品目等に対する加算を臨時的に実施する、(3)安定供給確保が特に求められる医薬品に対して、臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を引き上げる、(4)既収載品の外国平均価格調整については適用する、(5)新薬創出等加算の累積額については控除(なお、新薬創出等加算対象品目等を比較薬にして算定された品目の取扱いも含む)する、(6)その他の既収載品の算定ルール(長期収載品の薬価の改定、再算定)については、適用しない。ただし、薬価改定の際以外の再算定を除く―としている。
 了承するに当たって、長島常任理事は今回、薬価が見直されることによる供給面への影響を注視していく必要性を強調した。

社会保障審議会医療保険部会(令和6年12月26日)

 入院時の食費の基準の見直しに関しては12月26日に開催された社会保障審議会医療保険部会においても審議され、了承された。
 議論の中で城守国斗常任理事は、「前回改定では食材費等が高騰していることを踏まえ、約30年ぶりに食費の基準が引き上げられたが、その後も、更に高騰が続いている状況への配慮と理解している」とした上で、患者負担が増えることに関して、所得区分等に応じて一定の配慮を行うよう要請した。

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