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令和6年(2024年)6月5日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

産業保健委員会答申まとまる

日本医師会定例記者会見 5月15日

産業保健委員会答申まとまる

産業保健委員会答申まとまる

 神村裕子常任理事は、松本吉郎会長より諮問「認定産業医制度のあり方と新しい化学物質管理における産業医の役割」を受けて取りまとめた答申を、4月30日に産業保健委員会の相澤好治委員長(北里大学名誉教授)から松本会長に提出したことを報告するとともに、その概要を説明した。
 本答申は、(1)はじめに、(2)第Ⅰ部 総論、(3)第Ⅱ部 各論、(4)おわりに、(5)巻末資料―で構成されている。
 (2)では、まず、「認定産業医制度のあり方」に関して、過去3年間にわたる新型コロナウイルス感染症の流行により認定産業医研修の受講機会が減少していたことから、認定産業医の資質向上のため、研修のあり方について議論し、①産業医学研修の機会確保②生涯研修の内容改善③認定産業医に求められる資質④認定産業医のスキルアップと更新要件⑤法令の説明に関するオンデマンド研修⑥認定産業医制度のデジタル化―の検討、提言を行ったことを説明した。
 ⑤のオンデマンド配信においては、WEB研修会の動画を日本医師会公式YouTubeチャンネルに掲載し、復習できる取り組みを始めていることを紹介し、その視聴を呼び掛けた。
 また、⑥では、現在、新会員情報管理システムの構築を進めており、認定産業医の受講実績の管理や認定証の確認の他、新規取得申請・更新申請等も行えるよう設計していることを明らかにした。
 次に、「新しい化学物質管理における産業医の役割」では、新たな化学物質規制が、令和5年4月及び令和6年4月から自律的な管理を基軸とする規制へと改正されていることに触れた上で、①化学物質管理者と保護具着用管理責任者への助言②健康に対する有害性への助言③リスクアセスメント対象物健康診断での役割④緊急時対応⑤衛生委員会での助言と労働衛生教育への参加―について提言されていることを説明。「今後も研修会等で化学物質の自律的管理に関して産業医の理解と能力の向上が図られる必要がある」と強調した。
 (3)では、最近の産業保健を取り巻くさまざまな課題についても言及されており、特に今後重要となる「小規模事業場への産業保健の支援」について提言がなされていると報告。
 また、令和3年経済センサス活動調査の結果を基に、従業員規模が30~49人の事業所数は16万7236カ所で、50人以上の事業所数とほぼ同水準である一方、30~49人の事業所の産業医選任率は30・9%となっていることに言及。30~49人の事業場の産業医の選任を義務化することは現状では難しいとの考えを示しつつ、「産業医活動をしていない認定産業医に産業医活動に参加してもらうための支援と新規養成を進める他、産業医を希望する30~49人規模の事業場には、その希望に応えられるような取り組みを推進する必要がある」と主張。そのためには、地域医療の中核であり、地域産業保健センターの運営にも尽力してきた地域医師会の認定産業医のリーダーシップの下で、30~49人規模の事業場に対する産業保健の支援のあり方を検討するとともに、専門家や活動レベルの高い地域産業保健センターへのヒアリングの他、産業医のリーダーシップの下での連携によるモデル事業を実施し、好事例の収集や課題把握などを行うべきであると提言されていることを説明した。
 同常任理事は、結びとして、「日本医師会は『行動する産業医』を養成し、国と連携して30~49人の事業場であっても産業医の選任を推進するとともに、地域産業保健センターを充実させることで、小規模事業場への産業保健の提供を拡充する必要がある」と提言されていることに対して、「30~49人の事業場の産業保健の充実には、地域産業保健センターに登録されている地域医師会の産業医の先生方のご理解とご協力が不可欠である」と強調。
 「日本医師会としても今後、委員との議論を深めながら、主体的に小規模事業場の産業保健の充実策を推進していきたい」と述べた。

■日本医師会公式YouTubeチャンネル「研修動画」
 各種研修動画はこちらからご覧下さい。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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